洒落怖
ワラズマ

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話し終えると、しばらく沈黙していたオカンがやっと口を開いた。
○家で俺が倒れた後、散々な目にあったらしい。
最初は、俺が倒れたので、屋敷の人間は全員心配してくれた。
ところが、オカンがそういえばついさっき
俺が変なことを言っていたと内容をこぼしたら自体は一変。
変な指を見たって言っていたと教えたら、屋敷の奥さんが慌ててどこかに走っていき、
その後大騒ぎになった。

71 本当にあった怖い名無し sage 2012/01/14(土) 06:19:41.63 ID:UI2AIrGB0
奥さんは、仕事中のはずの自分の旦那や爺ちゃんにまで電話して、
すぐ帰ってくるようにと言った。
それが終わると、なんてことをしてくれたんだとオカンに詰め寄る。
息子が意識をなくしてるこんなときに、
何意味不明のことを言ってるんだと、オカン大爆発。
叩いてもなにしても俺が起きないから、救急車を呼ぼうとしたら、
「無駄だ」と止められたそうだ。

その後、物凄いスピードで帰ってきた○家の旦那たちがそろうと、
オカンは仏間で家の人間に取り囲まれ、事情を説明されたそうだ。

○家には、仏間の隣にワラズマという部屋があるらしい。
なんでも何百年も前からあって、絶対に入ってはいけないんだとか。
ただ、いくつかある規則をきっちり守っていると、
そのワラズマは、家に富と幸福をもたらすんだとさ。

たしかに○家は裕福だった。屋敷は、結構田舎の山ん中にあるんだけど、
大きな日本家屋の平屋で、大河ドラマとかに出てきそうな感じ。
で、幼い俺が、その入ってはいけない部屋に入ったっていうんだな。

72 本当にあった怖い名無し sage 2012/01/14(土) 06:23:46.28 ID:UI2AIrGB0
で、オカンはますます切れた。
だって、仏間の隣に部屋なんてなかったっていうんだ。
オカンも子供の頃から○家に来ていたので、間違うはずがない。
仏間は四方を廊下で囲まれている。廊下をはさんだ隣の部屋は、どこも普通の部屋。

そう言って怒ったら、よく思い出してみろって言われたそうだ。
廊下にある仏間の壁、不自然じゃないかってさ。
確認してみると、部屋の中から見る仏間の広さと、
廊下からみた仏間の壁の広さがあきらかに合わない。
廊下の壁のほうが、やけに広かったらしい。

どうやらそのワラズマ、たしかに仏間の横にあり、
四方をすべて壁に囲まれているらしかった。
だからオカンはいままで気がつかなかったんだ。
でも、そんな部屋じゃ息子が入れるはずないじゃないかと言ったが
倒れる前に言っていた内容と、直後に壁に穴が開いていたのがその証拠とか言って、
取り合ってくれなかったそうだ。

でも変だよな。
たしかに昔のことすぎて細かい記憶はあやふやだけど、
俺がフィンガーさんを見つけた部屋は普通の部屋だったぞ?
日の光が入って明るいかったし、内装も普通。
そして、ちゃんと襖があって、たしか開いていたはずだ。
じゃなきゃ、いくら俺が小さくても、他人の家の一度も入ったことがない
閉まった部屋に入り込んで寝たりなんてしない。

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