洒落怖
アケミちゃん

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走りながら俺は警官に言われた事を思い出した「携帯の番号登録しておくから、話が
できなくてもかけてさえくれればアパートにパトカーを向かわせるよ」と。
慌てていつも携帯を入れているほうのポケットに手を突っ込んだのだが、携帯が無い、
反対側とケツのポケットにも手を当てて確認したのだが無い。
そういえば、どうせ直ぐに戻ってくるしと思ったので、携帯は充電器に差しっ放しで
出てきたんだった…
俺は自分の迂闊さを心底後悔した。

795 3 sage New! 2012/04/08(日) 21:41:39.88 ID:D8CCaY6k0

たぶん1km近くは走ったとおもう。
今考えるとかなり不自然なのだが、その間車は何台かすれ違ったが、歩いている人には一切
出会わなかった、夜中の11時頃とはいえなんかおかしい、偶然か?
もう流石に追ってきていないだろうと考えた俺は、一端立ち止まりこれからどうするべきか考えた。

そこである事に気付き、今来た道とは別ルートでさっきの公園まで戻る事にした。
気づいた事とは、その公園には今時珍しく電話ボックスがあったのを思い出したからだ、
途中でアケミちゃんに出会うリスクはあるが、今時「確実に電話ボックスがある場所」というのは
かなり貴重だ、とにかく警察に連絡を取らないといけない。
俺は神経質なくらい慎重に、曲がり角では特に細心の注意を払いながら、かなり時間をかけて
公園まで戻った。
公園につき周囲をうかがい更に公園の周りを一周して確認したが人影は一切無く安全そうだ。

安全を確認できた俺は電話ボックスへと向かうと扉を開けた。
その時、俺の肩を誰かが叩いた。
「マジですか…」このとき俺は一生のうちで最大の絶望感を感じていた、そして「きっと彼女とは
別の人だ」という僅かな期待をもって振り向いた。
そこには、当然のようににっこりと可愛らしい笑顔で俺を見つめるアケミちゃんがいた。

「うへぇあああああああああああああああ!」

796 4 sage New! 2012/04/08(日) 21:43:39.08 ID:D8CCaY6k0

俺はかなり情けない叫び声を上げて地面にしりもちをついた。
アケミちゃんはそれがおかしかったのか、俺を見下ろしながらクスクスと笑っている、その笑顔
がやっぱりかなり可愛くて、可愛いからこそよけいに不気味だった。
こんな情けない状況でも、それでも俺は虚勢を張って「この前と言い今回と言い、なんで
場所がわかるんだよ!」とかなり強気に質問を投げつけた。するとアケミちゃんは、またクスクス
と笑いながら「だって、○○君のジーンズのポケットの中に“私”がいるから、どこにいてもわかるよー」と
言い出した。

訳が解らない、こいつやっぱおかしい、いわゆる「本物」ってやつに出会ったことは無いが、これが
本物というやつなんだろう、俺があっけに取られていると、アケミちゃんは「お尻のほうの右の
ポケットだよー」と言い出した。
どうやらポケットの中を確認しろということらしい。

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  • 匿名 より:

    寿司食べたい

  • アケミちゃん