心霊スポット・肝試しでの怖い体験
京都にて

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787 京都での出来事3 2008/06/18(水) 21:03:36 ID:Rv22mhns0

お互い喋ることなくシンと静まり返った濃霧の中を前方のみ凝視しながら走らせること
10分ほど。急にざあっと霧が晴れる。お互いの緊張が解ける。
「あの霧はなんやったんやろ」
「霊界の入り口だったりして(笑)」
「まじかよ!(笑)」
などと互いの恐怖心を紛らわすようにわざと大声でいいながらさらに走らせること10分ほど。

急に車が止まる。俺は体がガクンとなってビックリした。
「どうした?怖いからこんなところで止めるなよ!」
と俺はAに向かって言うとAは言う。

「・・・道が無い」

暗闇の中、前を良く見ると壁だった。正確には絶壁のように壁が道を塞いでいた。
なぜ?道自体は舗装されている感じで山崩れでもない限りこんなことはないはず。
そもそも1本道だからこんなことになっていたなら道は封鎖されているだろう。
何となく2人とも後ろを向いて

「引き返そうか」
と俺が言って振り返ったその瞬間、俺もAも時が止まったかの様に硬直した。

フロントガラスにぺったりとへばりつくように存在する
長い白髪の上半身だけの女。目はえぐられた様に無かった。

言葉にならない。言葉にならずにアウアウと動く口と滲む汗。
とっさに視線を外そうと運転席のAの方を向くと

A側の窓の向こうに男の首が見えAを凝視していた(Aはそれに気がついていない)。
Aは俺の首の動きに反応して俺の方(助手席)をみたら俺の方の窓にも首が浮いていて
俺を凝視していたと後で言っていた。
789 京都での出来事4 2008/06/18(水) 21:04:40 ID:Rv22mhns0
「俺は何も見えてない」「俺は何も見えてない」「俺は何も見えてない」
小声で何度も俺は反復した。
2人とも汗びっしょりになって動けずにいると急に電源もつけてないラジオから
お経が流れてきた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ」
発狂しかけたかのようにAは急に叫びながらこともあろうかバックで来た道を引き返し始めた。
「うわぁぁぁぁぁぁ」
お経をかき消すかのようなAの怒号。
暫くバックのまま走り続けていると来た時と同じように霧が車を包む。
Aは狂ったかのように頭を後ろに向け濃霧の中とは信じられないくらいのスピードで走る。
「いいか!絶対前を向くなよ!」「絶対だぞ!」
俺も一心に後ろを向いていた。

無我夢中でいるとまた霧は晴れ、何事もなかったかのように道は元に戻っていた。
いつの間にかラジオから流れていたお経も止まっていた。
車を止め恐る恐る前を向くと目のえぐられた女は居なかった。
「ふぅ」
小さく車を方向転換させて今日はもうAの部屋に帰ろうという話になった。

あの霧はなんだったのだろうか、あの女はなんだったのだろうか男の首はなんだったのだろうか。
俺もAもわからない。ただAは帰路の途中青ざめた顔でこう言っていた。

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