洒落怖
壁のシミ

この怖い話は約 2 分で読めます。

460 壁のシミ5/4 sage New! 2007/08/23(木) 03:35:51 ID:z18BM1Ot0
ハミ出した…最悪orz
 
「何で」
「ん?」
「赤ん坊を受け取らなかった? オカンにしては珍しい」
母親は保育園で保育士のマネゴトのような仕事をしている。子供が大好きな人だから、早く孫の顔を見せたいとは常に
思っているが、中々相手を捕まえられない自分を不甲斐無くも思っている。
「子供好きだろ?」
「あの子はね」
「ん?」
「あの子はお母さんじゃダメなの」
「ああ、まぁそりゃ実の母親が育てるのが一番だろな…夢の中で“実の母親”とかも無いだろうケド」
母親の言葉に何らかの含みを感じつつ、ぼんやりとそんな台詞を返す。母親も「んー」と珍しく生返事を返し、お新香を
バリバリと噛んだ。
ああ、そう言えば。
「あのさ、俺以外に誰か帰ってきてる?」
「ん? お兄ちゃんは泊り込みで仕事、小吉(弟)は10時頃帰るって言ってたし、お父さんはカラオケ」
「じゃあさ、さっき2階で足音したのは何だ?」
そう言えば気付いた事がもう一つ。“足音”は誰にでも聞こえる訳ではないらしい。あれから親父と兄貴、それぞれといる
時に怪音を耳にしたが、2人とも「何も聞こえない」と首を傾げるだけだった。
では母は? 確かに先程のあの時、母親は俺と一緒に天井を見上げていた。
母親は一瞬きょとんとした顔をして、しばらく俺の顔をじっと見つめた後、
「気の所為でしょ」と笑った。

絶対聞こえてやがる、と気付きはしたが、母親が“足音”の正体に薄々気付いていた事まではこの時はまだ気付かなかった

この怖い話にコメントする

壁のシミ
関連ワード