洒落怖
最後の言葉

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中学の頃、霊感があると言われていた凄く目力のある福耳の先生がいた。

二年生の夏に膝を怪我して激しい運動を禁止され私は暇を持て余していた。
持て余す程の暇は私をオカルトの道に引き摺り込んだ。
膝を怪我したあとから視界の端に見えないはずのもの、いわゆる霊、と呼ばれるものが映るようになったのだ。
もちろん初めは気がつかずに怪我の治療で入院中に病院で食事をしているとき入り口に誰かいるよう気がして見たら誰もいない、なんて気のせいで片付けられるものだった。
ソレがはっきり見えるようになったのは、二年生の秋、衣替えが終わった頃だ。
92 本当にあった怖い名無し sage 2014/03/01(土) 01:10:54.37 ID:ju4n8hZ30
私の中学校では文化祭に割と力を入れていて一年生は看板作り、二年生は教室展示、三年生は演劇をすることに決まっていた。
それとは別に合唱をしなくてはならなくて学年別の課題曲と自由曲をクラスで発表しなくてはいけなかった。
私たちの学年の課題曲はたまたまNコンの課題曲と重なりクラスの合唱部が張り切っていて口パクなんかすると魔女裁判の如く吊るし上げられるのだ。
私はちょうど声変わりの時期で、さらに歌が上手くない、言ってしまえば音痴なので適当な理由をつけて逃げ回っていた。
初めは文芸部室に逃げ込んでいたが福耳の先生に引き摺り出されるので足の病院に行くからと放課後はそそくさと帰ることにした。
この時期、夏に撮った写真のことをNが誰かに話したらしく私は霊感がある、写真を撮らせると霊が写ると噂の人物になっていた。
嫌な行事と嫌な噂は私を学校から遠ざけ当時流行る直前だった携帯のSNSにのめり込ませた。

93 本当にあった怖い名無し sage 2014/03/01(土) 01:12:58.68 ID:ju4n8hZ30
そのSNSにある地元の中学生限定掲示板で毎晩のように私と同じくあまり学校が好きじゃない学生たちとチャットしていた。
私はその中でも怖い話・オカルト系のチャットに良く顔を出し、鏡夜と名乗る隣の中学校に通うやつと仲良くなった。
ある日のこと、鏡夜を含むオカルト系チャットのメンバーで話していると誰かが夜中の二時ごろに流星群のピークが来るらしいと言った。
それならそこまで起きていて流星群を見ようと夜中まで適当な話をしていた。
二時になり、私は住宅街にある自宅のベランダに出て夜空を見ると確かにぽつぽつと流れ星があった。
チャットを見ると鏡夜が予想していた流星群と違う(当たり前だ。方角など関係なしに見ていたのだから)からコンビニでも行ってくると書いてあった。
他にもちらほらと想像と違うという書き込みがあり、寝てしまったのか一気に人数が減ってしまった。

94 本当にあった怖い名無し sage 2014/03/01(土) 01:17:31.07 ID:ju4n8hZ30
十分も外にいると虫の声も薄気味悪くなってくるし、何より肌寒い。
私があと一つ流れ星を見たら引っ込もうと思っているとコツン、コツンと足音がした。
誰か外に出てたんだ、と思って下を見るとおじさんが歩いていた。
住宅街なので犯罪防止のために玄関の外の電気をつけることが推奨されていて私の向かいの家も玄関の外の電気が灯っていた。
足音は近くなりおじさんが電気に照らされた瞬間、影だけになって足音が消えた。
光のしたにいる間だけ足音が消え、また暗い道に入ると姿と足音がもどる。
あのおじさんは人間ではないのだ、とわかった。
霊と呼ばれるものは私の視界の端に出てくるだけでなく、私の前を歩くくらいに実体を持って現れ始めたのだ。
いままで霊を音で感じたり、写真を媒体にしたりで見たことがあったが、直接この目で見たのは初めてだった。
あわてて家の中に転がり込んで部屋中の電気を着けた。
怖かったのだ。

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