子どものころの怖い話
カエル

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カエル

あれは俺が13歳位の頃だったろうか。鬱陶しい梅雨の時期には、近くの田んぼにカエルがわんさか湧く。
俺の実家は田舎で、それこそ農作業で生活してる人もいるし、通学路なんか半分は、左右田んぼに囲まれた
道が続いてた。で、当時中学生だった俺は梅雨だから外にも出れなかったし、暇で暇で仕方なかったんだよ
家で何かないかなと色々漁ってたら姉ちゃんが買ったハリーポッターの秘密の部屋のビデオがあったから
それ見てたんだよ。俺はハリーポッター興味なかったから、そのビデオが初見だった。
その映画にはバジリスクっていう水道を通って、見た人間を石化して殺す蛇が出てくるんだけど
中学生の俺には、それがかなり怖かったらしく、その日は一人で留守番だったのも含めて、見終わった瞬間
背筋が常にゾクゾクしてた。だって水道通ってくるんだぜ?どこにいても逃げ場ないじゃん。
かと言って外にも出れないし、俺は適当に面白そうなバラエティでもつけて気を紛らわそうとした。
890 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/04/12(土) 01:41:04.58 ID:pC9sW3W30.net
でもそんなんで気が紛れたら誰も苦労しないじゃん。俺は1人でずっとゾクゾクしてた。
で、夜7時位になって、じーちゃんとばーちゃんが帰ってきて、少しは恐怖感もなくなった。
でも両親は飲み会で、12時位にならないと帰ってこないらしい。おまけにじーちゃんとばーちゃんの寝室は1階で
俺の部屋は2階だったから、広い2階には俺1人。電気消して寝ようとしたけど、当然その瞬間にバジリスクが
俺の脳内をよぎる。後ろ向いた瞬間、目が合わないかとか、下のじーちゃんとばーちゃんは無事か、とか
今にして思えばバカじゃねーの、とか思うけど、当時の俺としては本気でそう思ってた。1時間位寝付けなくて
ずっと壁の方向いてた。電気つけて寝ようにも、振り向かないといけないし、そんなのさすがに無理だった。
で、聞こえてきた。バジリスクの鳴き声でも這いずる音でもなく、カエルの鳴き声が。
耳元で響くように、「ゲコ」っていう鳴き声。田舎暮らしとしては聞き慣れた、あの声。

891 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/04/12(土) 01:41:56.40 ID:pC9sW3W30.net
家具の軋む音とか、時計の針の音とかと聞き違うはずもない、リアルな鳴き声だった。俺の部屋にはそんな声出す
おもちゃもゲームも目覚まし時計もないし、それが聞こえた瞬間、今までにないくらいのゾクゾクが体中を襲った。
考えても見てくれ。ろくに後ろも振り向けない状態で、まっ暗闇の中で、響くようなカエルの鳴き声だぞ。
俺の心拍はもう限界レベルだった。で、耐え切れなくなって、必死の思いで電気つけて、その日はずっとゲームやって朝を待った。
そんな日に限って、やり終えて飽きて放置してるゲームしかなくて、ずっと夜が続くような感覚だった。
まぁ中学生だし、そんなのは3日もあれば忘れる。俺も例に漏れず、3日で忘れて友達とポケモンだのジャンプだのの話題で
盛り上がってた。で、何ヶ月かたって、夕食食って8時位にハリーポッターのアズカバンの囚人のTVで予告が始まった。
で、思い出した。バジリスクのこと。カエルの鳴き声のこと。まるで条件反射みたいに俺はまたゾクゾクとした。
更に俺を追い詰めるみたいに雨が降り始めた。それだけじゃない。その時居間に居たんだが、姉ちゃんが秘密の部屋のビデオを
再生し始めた。

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