本当にあった事件
防空壕探索の代償

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A「おい、B大丈夫か?」
B「…………」
俺「怪我、痛くない?」
B「……首が」
A「首が痛いのか?」

Bは相当憔悴しているようで、まともに答えることは出来なかった。
ただ、しきりに首を撫でていたのが印象的だった。
要領を得ないBから視線を外し、ふと俺達の自転車を見ると、Cの自転車が無くなっていた。

俺「なぁ、Cの自転車」
A「なんだよ、先に帰ったのか」
俺「くそ、あいつ。俺怖いの我慢して残ったのに」

とりあえず、Bをこのまま放っておくことは出来ないし、Cも無事だという事が分った俺達は、Bを支えるようにしてそれぞれの自宅へと戻った。

825 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/07/13(水) 19:25:35.81 ID:S1kRq45M0

事件が起きたのはこの日から丁度三日後、防空壕に行ったあの日のように蒸し暑い土曜の昼のことだった。
その日、俺はちょうど家族との買い物で朝から隣町のジャスコに行っていた。誕生日が近いこともあって、プレゼントを買ってもらう事になっていたのだ。
新作のゲームを買ってもらい、回転寿司を食べて、俺はとても幸せな気分に浸っていた。
その帰り道、あの山の上空にヘリコプターが何台も飛んでいるのを目撃した。
何度も言うが、小さな町だ。何もないのにヘリコプターがあんなに集まるはずがない。
俺の嫌な予感は最悪の形で的中することとなる。
あの日以来、学校を休んでいたBとC。
Aと俺は、あんなことがあったのだから心配だけど、仕方がないだろうとそれほど気にしてはいなかった。
家に帰り着いたとたんに、鳴り響く電話の着信音。
慌てて出るとAだった。

A「やっと出た! おい、ヤバい事になった!!」
俺「は? どうしたんだよ、ヘリコプターが沢山飛んでるのは見たけど、何か事件でも起きたのか?」
A「Bが刺された!!」
俺「…………え?」
A「俺もさっき父さんから聞いたんだ! あの公園でBが誰かに刺されたんだってよ!! なぁ、Dどうしよう、Bが死ぬかもしれん!!!!」

837 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/07/13(水) 20:39:53.59 ID:S1kRq45M0

電話越しで涙声になっているA。俺はただポカンと電話を持って突っ立っていた。
と、同じように携帯電話で誰かと話していた母親は、俺のその様子を見ると、さっと電話を取り上げた。
そして、「A君? ごめんなさいね。Dとてもショックだったみたいで、
ちょっと今お話出来ないみたいだから、またあとで、お電話してくれるかな?」と一言二言話すと、電話を切って俺を抱きしめた。

母「ショックだとは思うけど、ちゃんとしなさい。今警察が犯人を探しているから、今日は外に出ちゃだめよ」
俺「…………」

母は俺にそういうと、電話を取り出してまたどこかに掛け始めた。
茫然自失という言葉があれほど身にしみて分る体験は無いだろう。
全身の血液が足元から流れ出し、目の奥がカァっと熱くなる感覚。
自分が立っている地面が揺らいでいるみたいで、まともに立っている事すらままならなかった。
これは後日聞いた話であるが、Bの傷は異常なほどひどかったらしい、
全身を数十か所突き刺され、手や腕にも、刺されるのを防いだ時に刻まれた傷が無数にあったらしい。

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  • 匿名 より:

    これが真実ならCも被害者

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