本当にあった事件
防空壕探索の代償

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――あの光は近づいてきている

あの光がどういった物かは知らない。
ただ、とても怖かったのを覚えている。
俺達は一瞬でパニックになった。我先に出口に向かおうとするが、隣の友人の顔すら見えない暗闇に加えて、足元が滑るせいでまともに先に進めない。

818 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/07/13(水) 19:16:51.73 ID:S1kRq45M0

なおも、謎の光は俺達に近づいてくる。先ほどまで子犬程度の大きさだった光はいまや、ドッヂボール程の大きさにまで成長していた。

「うわぁああぁぁぁあああああああ!!」

防空壕の中に響き渡る俺達の絶叫。
手当たり次第に、持っていた木の枝や落ちていた石を光に向けて投げつける。
そのいくつかは確実に当たっているはずなのに、それらが物に当たるような手ごたえは無かった。
それでも、何度も躓き、膝をすりむきながら出口までたどり着いた俺達は、一目散に山の麓まで駆け下りた。

俺「何だ、何だよあれ!!?」
A「分んねーよ!! それよりBとCは!?」

Aの声に振り返ると、その場には俺とAしかいなかった。
B・Cの自転車はまだ残っている事から考えても、二人はまだあの防空壕に残されてしまっているらしい。
額から冷や汗が流れ落ちる。

俺「ど、どうすんだよ! あそこにまた戻るのか!? 俺はもう嫌だぞ!!」
A「俺だって嫌だよ!! でも、仕方ないだろ、あいつら二人置いとけねーよ!!」

走りだすA。俺は笑う膝を抑えて、Aの背中を追いかけた。

819 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/07/13(水) 19:20:01.84 ID:S1kRq45M0

Bはすぐに見つかった。樹の下の防空壕の入り口で、懐中電灯を持ったまま気絶していたのだ。
軽く失禁していたようだが、膝や手のひらの傷以外目立った外傷はないように見えた。
AはBを俺に任せると言うと、Bの手から懐中電灯を奪い、一人防空壕の中に消えて行った。
どのくらい時間が経っただろうか。実際には5分~10分程度だと思うが、一人待たされた俺が心細さと恐怖から半泣きになりかけていた頃に、Aが防空壕の中から慌てた様子で飛び出して来た。

A「Cがいない!!」
俺「何で!?」
A「分らん! すれ違いになったのかもしらん。取りあえずBを運ぼう」

Bの腕を俺達の肩に回して、山を下る。
二人掛かりとはいえ、完全に気絶してしまっているBを抱えながら山を下るのはとても辛かった。
Bが目を覚ましたのはちょうど山を下りきり、自転車置き場にたどりついた時だった。
「ひぃ!!」と口の端を震わせて辺りを見渡したBは、そこにAと俺がいることに気付くと安堵して崩れ落ちた。

821 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/07/13(水) 19:22:37.05 ID:S1kRq45M0

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  • 匿名 より:

    これが真実ならCも被害者

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