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和解

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604 和解 ◆cmuuOjbHnQ sage New! 2007/11/20(火) 04:11:56 ID:LxBD1hJJ0
俺がマサさんにされた事、今の俺の状態は,言わば「エンジンのリミッターを外してフルスペックにした状態」らしい。
リミッターで3000回転しか回せなかったものをレッドゾーンまで回るようにしたが、オイルもガソリンも入っていない状態ということだ。
解決策は「当面、マサさんに教えられた『行』を続けること、金銭やその他の現世的な欲望を原動力とした行動は慎むこと」らしい。
新興宗教団体の『行』が、多くの場合『魔境』しか産まないのは、『現世利益』を原動力にしてしまうことが大きな原因らしい。
『欲』を原動力とした行動は『徳』を減らすものらしい。
逆に利他的な動機に基づいた行動は『功徳』を増やす。
そのような行動を『布施』と言うそうだ。
「だからといって、教祖や坊主に大金を『お布施』したからって功徳なんぞ積めんよw」とは住職の弁。
住職はマサさんを「面白い男だ。他人にこれだけの『験』を施せる力があれば、一代でデカイ教団の一つも興せるだろうに。
『行』への取り組みは普通の宗教家のそれではない。目の黒いうちに是非一度会ってみたいものだ」と評した。

戻った俺は、マサさんに習った「修行」を再開し始めた。
住職の指摘の通り、それは全く以って「宗教的」ではないものだったが・・・

605 和解 ◆cmuuOjbHnQ sage New! 2007/11/20(火) 04:13:47 ID:LxBD1hJJ0
俺とアリサは部屋の鍵を返しに、きょうこママの店を営業時間の終わり近くに訪れた。
アリサとの共同生活が終ってしまうのは、正直、少し寂しくもあった。

席に座ってきょうこママに事の顛末を話す。
きょうこママは黙って頷きながら俺とアリサの話を聞く。
アリサの元同僚のニューハーフのお姉ちゃん達も興味深そうに聞いている。

俺とアリサが話し終わると、きょうこママが口を開いた。
「面白い話だった。だ・け・ど、アタシの聞きたいのはそんな話じゃないんだよね~」
他のお姉ちゃん達も期待に満ちた目でウンウン頷く。
「アンタ達、あれだけ長~い時間一緒に居たんだから、何かあっただろ?そこの所を包み隠さず詳しく話しなさい」
「何も話すことはありません」
「えー、つまんない~。話せ、全部吐け」お姉ちゃんの一人が煽る。
人の顔を指で突っつくな!
俺はアリサの方を見て「何もなかったよな!」と言い、アリサも頷いた。
「本っ当に何もなかったのかい?呆れたね。タマは付いてるのかい、このヘタレ!」
お姉ちゃん達が同調し、いつの間にか店内ヘタレコールとブーイングの嵐。他のボックスの客も混ざってるし・・・
「アリサ何とか言ってくれ!」
「・・・ヘ・タ・レ」

乱痴気騒ぎは朝まで続いた。
それ以降、アリサは俺の最も親しい女友達の一人になった。

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