洒落怖
夜釣り

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夜釣りやってたんだけど普通4,5人はいる堤防で一人だった
やったラッキー、仕掛けが横に流れても気にしなくていいと思ってご機嫌で釣ってたんだわ
満月の大潮で条件的に申し分なかったんだけど
その時は月が丁度真正面に来てた
月が煌々と明るいのだけはいただけない
なぜかわかんないけど魚が食い渋る
と、思っていたら頻繁に強い当たりが来る
しかし上げてみると魚が乗って来ない
餌もついたままの場合が多い
釣り師は当たりの特徴から何の魚かを推理するのが好きだが
このパターンは初めてだ 562 本当にあった怖い名無し sage 2013/11/21(木) 16:02:46.76 ID:mWp0hQhz0
変だな・・・
何度か肩透かしを食らいながらもめげずに仕掛けを振り込んだ
今度は仕掛けが沈んで電気浮きがすーっと立つとすぐ横にポコンと丸いものが浮かんだ
海は正面にある月の光を反射して揺らめいていたのでこちらからはその物体は逆光で真っ黒だった
大きさにしてボーリング球ぐらい
ん?係留用のブイか?
しかしその球体はすぐにスっと沈んだ
え?スナメリ?いやスナメリなら止まったりしないし頭を出したら潮を吹く
アザラシ?こんな南にいるのかな、ウなら首がついてるし・・・
その時は何らかの動物が仕掛けにイタズラしていたのだろうという事で納得した

566 本当にあった怖い名無し sage 2013/11/21(木) 16:56:31.50 ID:XBfAFnIS0
それ以来ピタリと当たりが止まり、少し苛立っていた
俺は竿を置いて座っていたクーラーの小口からカップ酒を取り出した
風が止まって海が鏡のように凪いでいる
スルメをモグモグと噛みながらカップ酒を飲み干した
俺は落ち着きを取り戻し「ふぅっと」息をして気を取り直した
クーラーの上で座ったまま体を90度捻ってヘッドランプを点け
クーラーの右隣に置いてあった道具箱を空けると
ベタ凪ぎなら辛うじて見える小さい浮きを取り出した
どんな小さな当たりも見逃さない作戦だ
そしておもむろに体を起こしながら元の体制に戻る目線の軌道上で何か見えた
堤防の際から顔の上半分だけ出して女がこっちを見てる
俺の体は正中線にタイソンのパンチを食らったような衝撃が走った
少し濡れた黒く長い髪を真ん中で分けて鋭い目つきでこちらを見ている
俺との距離約1m

567 本当にあった怖い名無し sage 2013/11/21(木) 17:34:01.89 ID:XBfAFnIS0
心臓と耳と鼻が連動して拍動するほど驚いた俺だが悲鳴は上げなかった
女の顔の質感等は普通に人間だった
どれぐらいの間見詰め合っていたかわからないが段々冷静に見れるようになってきた
こちらを睨みつけてはいるが結構美人だ
俺は声を振り絞った
「myはhにゅあんでゃすきや」
多分そんな感じ、相変わらず黙ってこちらを見ている女にもう一度息を整えて言った
「なななんですきゃ」
女はまるで反応しない

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