洒落怖
夜釣り

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568 本当にあった怖い名無し sage 2013/11/21(木) 17:38:51.61 ID:eEEKmDn+0
俺は強引に釣りを再開する事にした
俺は目を逸らして体を完全に元の位置に戻すと震える手で浮きの交換に取り掛かかる
何度もしくじって最終的にちゃんと結べてたかどうかもわからないが、一応出来た
女のいるであろう方向を照らさないように気をつけながらもう一度横に体を折り曲げて餌を取って針に付けた
そしてヘッドランプを消して仕掛けを振り込む
もう微妙な当たりになんか集中できるはずがない
女は俺の少し右斜め前にいるはずだがその方向の背景は複雑な形をしたテトラポッドであるため
横目で女の頭を確認する事はできない
ここはガン無視でやり過ごすしかない
しばらくして浮きがスポンと完全に沈んだ
おぼつかない手でアワセを入れるとまたもや仕掛けがすっぽ抜けて来た
俺はヘッドランプを点けると空中でブラブラする仕掛けを掴み餌箱が置いてある方を照らした
しかし俺はここで女が気になって恐る恐る地面を照らすヘッドランプの光を女のいた方向に這わせて行った

569 本当にあった怖い名無し sage 2013/11/21(木) 17:39:39.29 ID:eEEKmDn+0
居ない・・・
しかし俺は背後に気配を感じてギクリとした
本当に小さい音だが、ピタッピタッと二回音がした
俺は前だけを見て慌てて道具をあらかた片付けると堤防の先端に移動した
後に俺は自分で突っ込んだ
「移動するんかい!帰る所やろ!」
しかし長年通っていて行動がパターン化していた俺はこの
異常事態でも帰るという発想が出てこなかった
一体なんなんだアレ、頭がオカシな人?それにしても動く気配も感じさせずに
あの体制で堤防にぶら下がったり上がってくるなんて
信じたくないけど幽霊?俺取り付かれたの?
俺は大分落ち着いたものの気持ちがブレていたため
道具箱から意味のない物を取り出しては仕舞ったり
竿を持ったり置いたり餌箱を開けたり閉めたりした

570 本当にあった怖い名無し sage 2013/11/21(木) 17:41:40.90 ID:eEEKmDn+0
そして何とか準備して餌をつけ、仕掛けを振り込もうと
手元から海に目線を移すと女が居た
やはり顔を半分だけ出して睨んでいる
「キターーーーーーーー!」
本当にそう叫んでしまった
俺は少し泣きが入った
「・・・・もう・・・やめてよ・・・グスっ・・・うぅ・・うっ」
女は全く反応がない
「なんか用?グスッ、この世に未練あるの?グスッ、俺何も出来ないよ・・・グスッ」
俺はクーラーボックスの取り出し小口からカップ酒を取り出した
「飲む?」
相変わらずただこちらを睨みつけているだけの女の顔の前に恐る恐る
カップ酒を置くとビクッと手を下げた
「スルメも食べる?」
スルメの袋の開いた方を差し向けて同じようにカップ酒の横に置いた
「俺霊感とか無いし・・・こんなの初めてだし・・・なんで出てくるの?お願いだから帰って」
俺が泣きながら懇願すると女はすーっと下がって見えなくなった

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