厳選怖い話
和解

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とりあえず、俺の仕事は終った・・・だが、恐らく次があるだろう。
次に来るのは、自分の身を守る事は出来ても、祟りや呪いの類を「祓う」術を持たない俺にはどうしようもないものだが・・・
だが、俺はアリサにトコトン付き合うつもりでいた。
俺は「何かあったら遠慮なく連絡をくれ。いつでも飛んで行くから」と言ってアリサと別れた。
そして、予想よりも早く、アリサから救いを求める連絡が入った。

アリサからの連絡を受け、俺は夜の国道をバイクで飛ばした。

586 和解 ◆cmuuOjbHnQ sage New! 2007/11/20(火) 02:26:09 ID:LxBD1hJJ0
部屋に着き、インターホンを押すと恐怖に青ざめた顔をしたアリサが出てきた。
化粧をしていないアリサの顔は相変わらず美しいが、昼間より可愛さが増して見えた。
ストーキングする男の気持も判らなくもない・・・

アリサは俺を部屋に招き入れた。
よく整頓された広めのワンルーム。
俺はアリサから話を聞いた。

アリサの話では、俺がストーカー男をシメてアリサの元から離れてから、常に何者かの「視線」を感じるようになったのだと言う。
かなり気にはなっていたのだが、視線に「悪意」を感じなかったので、俺には連絡せずに我慢していたらしい。
しかし、その晩に異変が起きた。
ベッドで就寝中のアリサは、夜中に人の気配を感じて目が覚めた。
部屋の隅に誰かがいる!
しかし、金縛りにあって体は動かず声も出なかった。
恐る恐る立っている人物の顔を見ようと視線を移した瞬間、金縛りは解けた。
灯りを点け、気持ちを落ち着けようとしたアリサは、何者かの強い視線を感じてベランダの方を見た。
アリサが見たベランダに人影があった。
恐怖に駆られたアリサは、真夜中だったが、俺の元に助けを求める電話を掛けたというのだ。

587 和解 ◆cmuuOjbHnQ sage New! 2007/11/20(火) 02:26:58 ID:LxBD1hJJ0
後日、念の為、俺はきょうこママに頼んで店の子達の寮として借り上げている部屋の一つを提供してもらった。
アリサの希望もあって、暫く24時間体制でガードする事になった。
昼間は事務所の応接室や駐車場の車の中で仮眠を取り、帰宅してからアリサがベッドに入るまで寝て、朝まで寝ずの番をした。
昼間、事務所で仮眠している時、帰宅してアリサの近くで寝ている時、アリサの言う何者かの「悪意のない視線」を俺も感じることが出来た。
靄に包まれたかのような漠然とした夢の中で、俺は視線の主を目にしていた。
だが、目が覚めると、夢の中で視線の主を目にしたことは思い出せるのだが、その姿は思い出せなかった。

正直な所、アリサのお陰か?蟲のような魍魎が絡み着いてこない、アリサとの共同生活は俺にとって快適なものだった。
しかし、その晩は違っていた。

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