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それを用いて、町の女を呪い殺そうとした。
572 本当にあった怖い名無し New! 2012/07/06(金) 08:02:16.55 ID:5gKQxgMpO
だが、十年という長い歳月が経ち、あれだけ恐ろしく悍ましい事をしてきた女が噂にならない筈がない。
町に堂々と出て来た女は町人から捕まった「鬼」として。
そして今までの数々の所業の償いとし、無論処刑となった。
だが町民達は恐れた、生きながらにして鬼となった女をそのままにしていいものかと…祟りに見舞われるのではないかと…
そこで丁度来訪していた歩き巫女に相談した。
歩き巫女はこう町民に告げた。
「このままで怨念による祟りに見舞われるでしょう、私の指示通りにして下さい」と…
歩き巫女がとった方法は「逆さ埋葬」だ。
仏説に基づく物で、地獄など悪趣に堕ちた者は現世とは逆の姿をしていると、つまり屍体を物理的に地獄と同じにする事で祟りを封じた。
それだけでは済まさず、「黄泉還り」を防ぐ為、街道に地中深く穴を掘り「逆さ埋葬」した上で何重にも石で封をし、埋葬した。
そうする事で「黄泉還り」を防ぎ、よく人が往来する事で霊が浮かび上がるのも防ぐようにした。
そして鬼となった女の祟りは封じられた…
574 本当にあった怖い名無し New! 2012/07/06(金) 08:12:49.35 ID:5gKQxgMpO
俺はここまで聞き一息入れ、そして疑問となる事を高村に問い掛けた。
「今の話が本当だとしても何でその女は死んだ後の事も知ってんの?おかしいだろ」
正味、今の現代に呪いだ、怨念だが残っているとは思え無かったからだ。
高村はこう話してくれた。
「正確に言うと…女の霊が起こした事じゃないらしい、問題は「箱」の方らしいんだよ…」
拝み屋の話によると、霊は今だに元街道に封じられたままか、すでに地獄に堕ちているらしい。
今回の事を引き起こしたのは女が残した「外法箱」だと言った。
「魅入られたのは「箱」に残る怨念なんだよ…」
高村は泣きそうな声で呟いていた。
俺は重過ぎる雰囲気を軽くしようと高村に言った。
「言い方悪いけどさ…由美さんが亡くなったならもう終わった事じゃないかな?お前が元気無かったら由美さんだっ…」
高村は遮るように怒鳴ってきた。
「何も終わってねーよ、知った風に言うな」
高村は怒鳴った後、ハッとして「悪い」と一言言って俯いた。
俺は周りに軽く頭を下げ、高村に尋ねた。
「終わってないってなんだよ?何が終わってないんだよ?」
高村はか細い声でこう言った。
「最近見えるんだ…昼間だろうが夜中だろうがあの女が…俺もう無理なのかもな…」
高村が周りを確認していた理由がようやく分かった気がした。
高村は女性を見ていたわけじゃない、女の怨念がいないかを見ていたんだ。
576 本当にあった怖い名無し New! 2012/07/06(金) 08:20:40.44 ID:5gKQxgMpO
俺は空元気を出し高村を励まそうとした。
「大丈夫だって、話も眉唾だし、由美さんが亡くなって落ち込んでるのが原因なのかもしれないしな?それにさ、もし何かあったらその拝み屋に頼めばいいじゃん」