田舎・地方の習慣
鍾乳洞

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「おおぉぉぉおおおおぉお!!」

地の底から響くような唸り声が出入り口付近から聞こえて来たのだ。

876 6 sage New! 2011/08/17(水) 19:37:17.11 ID:Y9ByGQbH0
退路を断たれ奥に戻ろうにも、もうあんな不気味な場所に戻ろうとは思えなかった。
俺は足が竦み、腰も砕けて、力なくその場に座り込んでしまった。

「(もう駄目だ……!)」

本能的に恐怖から逃れようとしてか、俺はギュッと目を瞑った。
程なくして、頭を岩で殴られたような衝撃が走る。
目の奥で星が光り、「幽霊に殴られた!! ……幽霊って人を殴れるんだなぁ」と恐怖からおかしなことを考えていると、
何故か居なくなっていたはずのCの声が聞こえた。

C「おい! 大丈夫か!?」
俺AB「え?」

恐る恐る顔を上げると、心配そうな顔をしたCと鬼のような形相をしたB父とC父が仁王立ちしていた。
三人はポカンとしている俺達を放って、三人で話し始めた。

C父「こぉの、糞ガキ共が!! 此処にはあれ程近づくなと言っていただろうが!!!」
B父「C! ここで遊んでいたのはコイツらだけか!?」
C 「いや……まだ、都会から来た○○君が」
C父「あぁ?! ○○だと!? 何処の子だ!!」
C 「えっと、確か……○○さん家の孫だとか」

877 7 sage New! 2011/08/17(水) 19:39:02.44 ID:Y9ByGQbH0
Cから話を聞いた父親たちは怪訝な表情を浮かべて顔を見合わせると、
「○○のじいさんは少し前に入院したはずだから、今は誰もあの家にいないはずなんだがなぁ」と呟いた。
絶句する俺達。じゃあ俺達が遊んでいたのは一体誰だったというのだろうか。

B父「取りあえず、俺達でちょっと様子見てきてやるから、お前達は家に帰って待ってろ」

そんな疑問に答えを出す間もなく、B父に促されるまま俺達は各々の自宅へと帰らされた。
自宅に戻ってからはなにをする気力もなく、クーラーのきいた御座敷でごろごろと横になっていた。
父が帰って来たのは日が沈んだ頃。血相を変えて部屋に飛び込んできた父親は俺を見つけるなり、「この、馬鹿野郎!!」と言って俺を殴り飛ばした。
普段は温厚な父に殴られたことに俺は驚き、痛みもどこかに吹き飛んでしまった。
茫然と父を見上げていると、父はため息をついて静かに語り出した。

「あそこはな、昔からあまり良くない場所だって言われていたんだよ。人が消えたとか、ケガをするって話が多くてな。
開発の話が来た時も村としては反対したんだ。でも、町は強引に開発をしようとした。それで着工されたわけだが、
案の定事故が多発して、開発も途中で放り投げてしまった。お前達と一緒に遊んでいた子がどういう子なのかは父さん達には分らないが、
もうあの鍾乳洞に行くのはやめておきなさい。これ以上父さん達を心配させないでくれ」

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