田舎・地方の習慣
ヒギョウさま

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506 7/13 sage New! 2011/08/14(日) 17:43:36.40 ID:zBvOhT5L0
次の日、午前中,弟と虫取り遊びをし、帰って早めの昼食を摂っていると何か違和感を覚えました。
(ああそうだ、今日はお爺ちゃんが居るんだ)
よく考えてみると、それまでお爺ちゃんと一緒に昼食を摂った記憶がありません。
いつもお昼の11時30分頃から姿が見えなくなっていたのです。
その日は村の寄り合いがあるとかで朝から出かけており、11時頃ベロベロに酔っ払って帰ってきて、一緒に食卓を囲んだのでした。
お爺ちゃんは白飯に冷たい麦茶と漬物でお茶漬けにして食べていましたが、途中で食卓に突っ伏して寝てしました。
私達は起こしちゃ悪いと思って静かに食事を済ませ、外に遊びに行きました。
外に出てから前の晩にチラッと見た孵化室の玩具のようなものを思い出し、弟と一緒に見に行くことにしました。

508 8/13 sage New! 2011/08/14(日) 17:45:41.63 ID:zBvOhT5L0
それは、玩具ではありませんでした。ペンキのようなもので鏡面を朱色に塗られた手鏡。
粘土で作られた小さな牛の像。プラスチックの安そうな造花。
昨夜はそのカラフルな色合いから、玩具のように見えたのでしょう。
しかし、それらはなんに使うものかまったく見当も付きませんでした。
私はお爺ちゃんが昨夜玉子を捨てていたゴミ箱に気が付きました。
昨夜は暗くてよく分かりませんでしたが、明るいところで見るとそのゴミ箱の蓋には、昔風の線を崩した読めない字で何か書いてある古そうな紙が一杯貼ってありました。

509 9/13 sage New! 2011/08/14(日) 17:47:24.49 ID:zBvOhT5L0
「あっ!生まれとるで!・・・え、・・・何・・アレ・・・」孵化器を覗いた弟が、玉子が孵っているを見つけたようです。
私は、生まれたての雛を見たくて孵化器の扉を開けました。

すると

雛?がいました。
しかし、その雛?は他の雛とは何かが違いました。
良く見ると、他の雛達と違い、全く震えていませんでした。
全くさえずっていませんでした。

そして眼が、眼だけが、人のそれでした。

ソレは孵化器の棚からドサッと土間へ落ちると、首を振らず、スタスタと歩いていきました。
私はその異様さに、動くことができませんでした。
ソレが孵化室を出て西のほうへ歩いていき、見えなくなると、金縛りが解けたようにやっと動けるようになりました。

524 10/13 sage New! 2011/08/14(日) 19:43:51.77 ID:zBvOhT5L0
そして弟の方を見ると、弟は

よだれをダラダラと流し、眼はどこも見ておらず、呼びかけても呼びかけても反応がありませんでした。
私が大声で弟の名を何度も呼んでいると、お爺ちゃんとお婆ちゃんが息を切らして飛び込んできました。
「おいっ!!見たんか!!」
私はお爺ちゃんの形相が恐ろしくて「見てない」と答えました。
お爺ちゃんは私の眼を見ながら「見とるじゃろ。どっち行ったんなら?」と怖い眼で聞きました。
「あっち」と私は西のほうを指差しました。
するとお爺ちゃんは出入り口のドアの横においてあった粘土の牛の像と造花を持って、私の指差した方へ走っていきました。
お婆ちゃんは弟の名を何度も呼んでいましたが弟はよだれを流すばかりでなんの反応もしませんでした。
「ヒギョウさまと眼が合うたんか・・・」
お婆ちゃんは悲しそうに言いました。
「もう直らんの?」私は、弟とそれを見るお婆ちゃんに、幼いながらもただならぬ様子を感じ、そう尋ねました。
「いや・・・坊、そこの赤うに塗っとる鏡を取ってくれ。」

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  • 匿名 より:

    よくねーよ。クズ

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