田舎・地方の習慣
餌やり

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122 本当にあった怖い名無し sage 2009/02/02(月) 23:28:42 ID:pNjf/Sk00
オカ板初めてきたんで人生で1回だけ体験した心霊?話おいていきますね

とりあえず俺の住んでる所ってのがすごい田舎。
数年前ローソンとか出来たけど周りは山に囲まれてるし
季節になると山葡萄とか秋には柿が庭で取れる、そんなレベル。

自動車の本道脇は全部あぜ道で、そこいらに広がる畑やら田んぼのど真ん中に俺んちはある。
結構庭も広くて縁側は日の光が良い感じに差し込んできて春先とかは最高に気持ちが良い。
暖かくなるとおばあちゃんがそこに座っていっつも茶菓子やら煮干しをお茶と一緒に食べるのがデフォだった。

そいでいつから来だしたのか分からないのだけれど、庭によく猫がやってきてた。
1匹とかじゃなく何種類も。ブチだったり三毛だったり。
おばあちゃんが日向ぼっこをしている時に餌をやってんの。
そんな風景を俺は当たり前だと思っていたし、家族も猫を追っ払うでもなく
かといって飼い猫みたいに首輪をつける事も無く、何となく「トラ」だの「ブッチさん」だの
名前をつけてはそれを眺めてた。

高校を出た俺は頭も良くなかったし、地元の食品会社に勤めることになった。
家から車でホント5~6分の距離で職場環境も良かった。

うちの職場では鰹節の粉カスみたいなのが毎日沢山出る。
ある日俺がその粉カスを持って帰るとおばあちゃんがめちゃ喜んで
「猫は鰹節がすきやからなぁ、きっと喜ぶわぁ」ってその鰹粉を受け取った。
次の日から小さな陶器の器におばあちゃんが鰹粉を入れて猫たちにやるようになった。

気がつけばもうおばあちゃんはもう80を過ぎていて、昔は自転車に乗って買い物をしにいったり
老人会の集いみたいなのに出かけていたのに、いつのまにかそれをしなくなっていた。
毎日顔を合せているから分からなかったが、よく見れば頬は扱け手には血管が浮いていた。

それでもおばあちゃんは毎日猫たちに餌をやり続けた。
おばあちゃんが疲れて布団から出てこないときは俺や母が餌をやった。

123 本当にあった怖い名無し sage 2009/02/02(月) 23:32:26 ID:pNjf/Sk00
一昨年の夏、俺が職場のゴミ出しに外へ出るとおばちゃんが「クロ」と呼んでいた猫がゴミ置き場にいた。
地面に寝転がるのが本当に好きで、よく餌を食べるなんだかだらしのない印象の猫だった。
いつも面倒くさそうな顔をしていたけれど、どこか憎めない奴だ。
俺は心の中で(ああ、この生ゴミの臭いに釣られたな)と思い少しニヤついた。
いつも家で見ているクロを職場で見るのは何だか新鮮で少し嬉しかったのだ。

クロは俺を見据えたままトコトコこっちへやってきて
ゴミ袋を持った俺の1メートル手前で背筋を伸ばしビシッと座った。
いつもだったら足元に擦り寄ってきて餌をおねだりをするクロがまるで敬礼しているみたいに
前足や耳をピンと張らせ自分を見ている。

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