師匠シリーズ
怪物 「起」

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535 師匠コピペ12 sage New! 2008/07/07(月) 21:59:20 ID:uJkpQUk20

668 怪物   ◆oJUBn2VTGE ウニ 2008/07/06(日) 22:06:01 ID:JJl4aZ230
と言って席を立つ。残した料理のことについて母親に小言を言われることは目に見
えていたので早足でダイニングを出ると、背中を追いかけてくる言葉を無視して2
階の自分の部屋に逃げ込む。
ドアを後ろ手で閉めるとテーブルの上に置いたままの紙袋を手にとって、『世界の
怪奇現象ファイル』を取り出し、ゴロンと絨毯に寝転んだ。つけておいた折り目を
目印に、目当ての頁をすぐに探し当てる。
≪空からの落下物≫の章にはこうある。
「にわかには信じられない話だが、この世には空から雨以外の奇妙なものが降って
 く来るという現象がある。それは魚介類やカエル、氷や石、それに肉や血や金属
 や穀物、そして紙幣など実に多種多様なものだ。それらは紀元前の昔より世界中
 で多くの人に目撃されており、この現象に興味を持った超常現象研究家チャール
 ズ・フォートにより『ファフロツキーズ(FAllS FROM THE SKIES)』と命名され
 た……」
そんな説明に続いて、具体的な事例があがっている。
カエルや魚が降ったというケースが多いようだ。
1954年イギリス、バーミンガムのサトンパークでは海軍のセレモニーの最中、
雨とともに何百匹、何千匹というカエルが空から降って来て見物人たちの傘にぶつ
かり、地面に落ちたあともピョンピョンと飛び跳ねていたという。
1922年フランスのシャロン=シュル=ソーヌでは、二日間にも渡ってカエルの
雨が降り続いたと当時の新聞が伝えている。
近年の例では1989年オーストラリアのクィーンズランド州で民家の庭に100
0匹のイワシが降ったとされる。
私はそんな膨大な事例の中から、石が降ったという記録を探し出していった。
1968年宮崎県の迫町で、ある薬局に小石に雨が降り、それが誰の悪戯とも判明
しないまま半年間も続いたという事例。

536 師匠コピペ13 sage New! 2008/07/07(月) 22:00:05 ID:uJkpQUk20

669 怪物   ◆oJUBn2VTGE ウニ 2008/07/06(日) 22:10:42 ID:JJl4aZ230
そして1820年イギリスのサウスウッドフォードでは、ある家に石の雨が降り、
通報によって警察官が配置される事態になったが、結局その石がどこからやって来
るのか分からなかったという事例。
1922年カリフォルニア州チコの町の片隅に降った石の雨は、その現象が数ヶ月
にも及んだが大学の調査チームにもその正体が分からなかった。
まだまだあったが、どれにも共通しているのは石の雨が広範囲に渡って降ったとい
うわけではなく、むしろ極めて狭い範囲に集中してたということだろう。
1820年小石川の高坂鍋五郎の屋敷だとか、1600年代ニュー・ハンプシャー
のジョージ・ウォルトンの屋敷だとかという記録を見ると、実にその個人に対して
石の雨という攻撃が行われているような感想を覚える。
まるでその家の持ち主に恨みを持つ人間の仕業であるかのような気がする。
石がどこから来るのか分からないと言っても、誰かが見張っている時にはその悪戯
を決行しなければいいだけの話だ。そして監視がない時を見計らって、物陰から投
石をする。
その場に居合わせない人間が考えると単純な構造に思えるけれど、実際はどうなの
だろうか。
その『世界の怪奇現象ファイル』には、このファフロツキーズ現象についてのいく
つかの仮説が紹介されていた。
チャールズ・フォートは地上からのテレポーテーションによって移動した魚やカエ
ルなどが大気圏中のある空間に蓄えられ、それが時に奇怪な雨となって地上に降り
注ぐのだと考えた。
他にもプラズマや空中携挙といった荒唐無稽な説もあったが、現実的に思えたのは
飛行機からの落下説と竜巻説だった。

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