師匠シリーズ
怪物 「起」

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529 師匠コピペ8 sage New! 2008/07/07(月) 21:27:19 ID:Qa02XDyg0

662 怪物   ◆oJUBn2VTGE ウニ 2008/07/06(日) 21:47:10 ID:JJl4aZ230
真っ昼間に制服だと目立つな、と思いながら歩いていると、遠くからサイレンの音
が聞こえてきた。
救急車の音だ。
そう思った瞬間、駆け出していた。
それはさっき耳鳴りがした瞬間に雷のような音が鳴った方角に向かっているような
気がしたからだ。その時にはどこから聞こえたのか分からなかったのに。
救急車のサイレンにキョロキョロとしている通行人を追い抜き、大通りを通り過ぎ
て、路地裏に入っていく。
10分ほども走っただろうか。
ざわざわとした人の気配が強くなり、角を曲がった時にその光景が飛び込んできた。
商業地から住宅地に少し入ったあたりの、寂れた2階建ての建物が並ぶ一角に救急
車の赤いライトがくるくると回っている。
周囲には割れたガラスが散乱し、何人かの人が頭や腕を押さえて道路に座り込んで
いた。野次馬がその周りをウロウロしている。
地面には血の跡がポツポツと落ちている。けれどそれ以上に私の目を惹くものが地
面に落ちていた。
石だ。
パチンコ玉くらいのものから、子どもの握りこぶし大のものまで大小様々な石が周
囲に散らばっている。
「落ちてきたって」「雹が?」「石だろ、石」「雹じゃないの」「空から落ちてき
たんだって」
そんな言葉が辺りを飛び交っている。
雹という単語を聞いて、思わず手に取ってみたがやはりそれは石だった。どこにで
もあるただの石だ。公園や校庭に転がっていそうな。
空を見上げたが、電線が一つ横切っているだけであとは飛行機雲一つない。

530 師匠コピペ9 sage New! 2008/07/07(月) 21:27:52 ID:Qa02XDyg0

663 怪物   ◆oJUBn2VTGE ウニ 2008/07/06(日) 21:50:33 ID:JJl4aZ230
その路地の100メートルくらい先まで、石が乱雑に道路に飛散している。ガラス
も建物の窓が石で割られたものらしい。よく見ると家の瓦屋根が割れているのも目
に付いた。
本当に石がこの晴れた空から降ったのか? 天気雨のように?
そんなことがあるのだろうか。
隕石という言葉が頭に浮かんだが、どう考えてもそんな大げさなものではない。
「どいてどいて」
道路につっ立っていると消防隊員に邪険にどかされた。救急車が出るらしい。
私は少し考えてから、その石を一つだけスカートのポケットに入れた。そして向こ
うからパトカーがやって来ているのに気づき、慌ててその場を離れる。
警察はまずい。平日の真っ昼間に高校の制服を着たままだったからだ。彼らは例外
なく皆お節介で、そして中高生のあらゆる非行が学校をサボることから始まると固
く信じている。
後ろ髪を引かれる思いでその路地を後にした私は学校に戻ろうかとも考えたが、5
秒で却下する。
しばらく路地裏を目的もなくうろうろしていたが、鋏を買うつもりだったことを思
い出し、近くの文房具屋に足を向けた。
そう言えばこの辺りは最近来ていないなと思いながら、ささやかな商店街を歩く。
その間も頭はさっきの石の雨のことを考えていた。
たくさんの目撃者もいるようだ。なによりあの割れたガラスや瓦屋根、そして怪我
をした人間がその証拠だ。石は降った。それは間違いないだろう。だがどこからか
なのか。それが問題だった。近くにもっと高いビルでもあればその上の方の階や屋
上からばら撒かれた可能性もあるが、区画上の規制でもあるのかそんな高い建物は
見当たらなかった。
飛行機?

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