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おじゃま道草

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隣の住人が網戸ごしにこちらを覗いているのを気にかけながら、中へ。
「むさ苦しいところだが、まあはいってくれ。」
馬場君のさそいに、玄関へ一歩。
「く、くさい、何だ?、、、」というのが内部を見た第一印象でした。
茅野君は開口一番、
「猫、飼ってるのかな?」
私もそれに相槌をうつと、馬場君は、
「うちには居ないが、周りには何匹かいるよ。匂う?
やっぱりなあ。いくら掃除しても、抜けないんだよね。」
玄関から上がってすぐ左が階段。玄関(西)から正面(東)へ真っ直ぐに廊下があり、突き当たり右(南東)がダイニングキッチンで、左(北東)が浴室。
私たちは、上がって右手(南西)のバンドの練習室に通されました。
「す、涼しい、、いや、寒い、、エアコンは?、、な、ない!、。
窓は?、、閉じてる。」
窓の外に妙に目立つものが、、、。よく見ると枯れ木でした。

「この部屋が1階では一番まともなんだ。」
マネージャーの女の子が茶を入れている時、やっと馬場君が話を始めました。
馬場君の話の概要は、
・1階で寝るとうなされることがある。
・2階に全員が居る時、1階から話し声が聞こえる。
・1階から上がってくる足音がしたのに誰も来ない。
・引っ越してきた時、押入の中にケース入りのゴルフクラブ一式が残されていた。
・台所に行くのをみな嫌がる。
といった現象なのですが、猫について次の様な体験を話してくれました。

「昨日、2階に居たら1階で物音がしたんで、「買物に行ってたヤツが戻ってきたかな?」と思って下へ降りてきたんだ。
そしたら、玄関のドアは開いてたんだけど、誰も居ない、、。よく見ると、近所の猫が入り込んでたんだな。
ところがそいつがなかなかつかまらない。ちょっと掴むと、必死で引っ掻いて抵抗する。この引っ掻き傷、見てみなよ。
そこで、窓を開けてやったんだな。ところが追い回したけど、猫は窓を無視するんだね。そして、そのうち、猫が玄関へ走ったんだ。「やった、出てくぞ、、、」そう思ったら、猫が変な行動をとったんだ。
玄関に降りるやいなや、ビタッと立ち止まって急に向きをかえたんだね。そして俺の足下をぬけて階段上がって、2階の窓から屋根越しに逃げたんだ。
で、さぁ、、、。
その、玄関での行動なんだけど、本当に変なんだよね。何か、目の前に恐ろしいものでもいて、あわてて引き返した、、、という感じなんだ。俺に追いかけられるよりは、よほど怖そうだったよ。」

この話を聞いた茅野君は、
「その猫、何かに操られてたんじゃないかなぁ。」
と、コメント。
私は、その話の間も、廊下を猫が行ったり来たりしている様な感じがしていました。
「その猫はたまたまそうなっただけで、普段は生きていない猫がうろうろしているみたいだね。」
私がそういうと、すかさず茅野君は、
「うん、今も廊下をふっと影が通った様な気がしたよ。」
と、意見が一致。
しかし、大切なのは、さっきの茅野君のコメントです。私は、茅野君の勘(感)を生かすつもりで、彼にたずねました。
「でも、本体は猫じゃないな。台所へ行ってみる?」
「いいや、今はよすよ。明後日は休みだから、明るいうちに来よう。」

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