厳選怖い話
軽自動車

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俺『ちょっと文句言ってくる。』

と、捨て台詞をはいて車から降りて軽自動車の方へ歩いていった。もちろんAは物凄い剣幕で反対してきたが降りてしまえば
関係ない。何でも出てきやがれって感じで怒りを前面に出して相手のほうへ歩いていった。

軽に近づいて不思議に思ったが、中にどんな奴が乗っているか分からない。前面までスモークフィルムを貼ってるのか?とか
馬鹿なことを考えながら軽自動車の運転席の窓ガラスをノックした。すると、運転席側の窓がすーっと開いた。
中を見た俺は一瞬目を疑ったがもう一度じっくり確認してそして・・・。
一目散に車のほうへ逃げ帰った。今まで生きてきた中で一番早く走って一番大きな声を出しながら・・・。

<5/6>  車の窓が開いた時、中には・・・・

人が乗っていた。いやそもそも人なんだろうか。それも何人も。4人乗りの車に5人とかそんなに生易しい物ではなかった。
もうギュウギュウ詰め、例えるなら通勤ラッシュの満員電車状態である。隙間がないくらいびっちりと狭い軽自動車の車内が
人で埋まっていたのである。上下左右人の向きは関係なくテトリスで隙間なく積み上げていくブロックのように・・・。
しかも全員顔色が真っ青で目が空洞の様になっていた。老若男女いろんな人・・・。その苦しそうな体勢の人たちが一斉に窓
の外に立っている俺のほうに顔を向けているのである。首が180度回っている奴もいた。結局中が見えなかったのは人で車内
が埋まっていたからである。

車に戻ると慌てて車を発進させた。Aは何も言わずうつむいてガチガチ震えていた。恐怖でパニクってた俺はとにかくこの駐車場から
出なきゃいけない、逃げなきゃいけないと思い、強引ではあるが出入り口に止まっている軽と柵の間のスペースに車を滑り込ませて
無理矢理すり抜けようとした。左の柵に当たった。バリバリといやな音を立てて車と柵が悲鳴を上げた。しかしそれどころじゃなかった。隣にあ
る軽の方を見ないようにして思いっきりアクセルを踏んだ。車の頭が駐車場から道に入った瞬間、ついうっかり右を見てしまった。視界に軽自動
車が入った。中の人が全員こちらを見て笑っているように見えた。そこで物凄い衝撃を食らって意識がなくなった。

気付いたら病院だった。

<6/6>  結局、駐車場から車の頭を物凄い勢いで出した俺の車に普通に走ってきた車が俺の車のフロント部分横へぶつかったのである。
Aは頭を打ったらしいがほとんど外傷がなく軽い打ち身があちこちにあるくらいで無事だった。
俺は開いたエアバックに思いっきりぶつかったせいなのだろうか?鼻骨折して前歯が3本ほど折れて、足もどうやったのか分かんないけど
右足の骨にヒビが入っていた。打ち身も体のあちこちに出来ていて熱が出てしばらく入院を余儀なくされた。
相手の方は20過ぎの女性で無傷だった。お互いに車はボコボコだったけど・・・。
結局警察と保険屋が入ってお互い話し合いして決着は付いた。

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