洒落怖
廃校にて

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昨日も書き込んだ、北海道北部の者だが、話しをもう一つ。
自分が住んでいる町から車で一時間程走ったところに廃校がある。
町でも有名な心霊スポットだ。
ある年の夏の日、自分は友人を誘ってそこへ向かった。
夜なのに蒸し暑かったのを覚えてる。

廃校の近くまでは車で行けるが、土地は手入れもされていないので、後は徒歩。
腰の高さまで生い茂った草、じめっとした纏わり付く空気、蛙の鳴き声。

5分程歩いただろうか、廃校が見えた。気味が悪い。正に田舎の廃校といった感じだ。

「行くか」

懐中電灯の明かりが、入口を見つけた。
が、板が打ち付けられていて、入れない。
やむを得ず他の入口を探していたら、教室だろうか、窓が割れている。
そこから入る事にした。

964 本当にあった怖い名無し New! 2010/04/13(火) 11:44:41 ID:uy6VQGisO
よじ登り、侵入する。
明らかに空気が違う。一瞬動きが止まった。

特有のカビ臭さ、倒れた机や椅子。

そんなんじゃない。
空気がどんよりと重い。
ジメジメした熱さに、ひんやりとした汗が垂れるのがよく解る。

ごくりと息を飲む。

教室内は、荒らされている。明らかに誰かが荒らした跡だ。
スプレーの落書き、空き缶、タバコの吸い殻。

廊下にでる。この廃校は幾つかの教室、小さな体育館、便所が一カ所、規模は小さい。小学校だ。

一通り、教室は見回ったが、どこも同じような感じだ、安心する反面、正直腑抜けた。

「ここで最後か」

体育館だ。

後悔した。こんなとこ来るんじゃなかった。

965 本当にあった怖い名無し New! 2010/04/13(火) 11:56:45 ID:uy6VQGisO
やや重い鉄の扉を開き、体育館に入る。
散乱した、空気の抜けたボール。落書きがひどい。

「まずい、帰ろう。」

友人が言う。

「気持ち悪い。」

どうしたと聞いた。

友人はカタカタと奮え、何かいる。と言う。

辺りを見回すが、自分には見えなかった。しかし、友人の常ではない様子を見て、自分も急に怖くなった。

「…帰ろう。…帰ろう。」

友人は、腰を抜かしその場に座り込んでいたので、肩をかそうとしたその時だった。

友人の肩に何かが乗っかっている。

すぐに解った。手だ。明らかに手がある。
自分のでも、友人のでもない。子供の手だ。

967 本当にあった怖い名無し New! 2010/04/13(火) 12:13:01 ID:uy6VQGisO
まずい。
自分は友人を抱き抱え、体育館の出口に向かった。
体育館から出て、すぐに扉を閉めようとした。
狭くなる体育館の景色の最後に、それはいた。
頭の、顔のでかい子供だ。月の明かりが透けて見えた。左右の長さの違う手。短い足。

あくまで、想像だが、師匠シリーズの「ともだち」に出てくる化け物のような感じだ。

友人を抱えながら、死にもの狂いで廃校を抜け出した。車までの距離が、いやに遠い。
自分の心臓の音、友人のぐずる声、吐息がよく聞こえる。

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廃校にて