厳選怖い話
ムシャクル様

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mixiで見つけた

前職が前職だったので、不思議な話を聞く機会はそれなりにあった。老若男女問わず、「こんなことがあったんだが、なにもしなくて大丈夫か」、「あれはいったいなんだったのか」等を寺にたずねに来る人は多い。
住職が上手く煙に巻いて安心させて帰らせたり、忙しいときはまともに取り合わなかったりもしていた。それを横で聞いているうち、「不安ってなんだろう」と漠然とした疑問を抱いた。それも、今の学科に入った遠因のひとつにあるのだろう。
僕は心霊現象は信じない。昔は、ごく普通の怖がりな子だったが、宗派が霊だのなんだのを認めなかったため、自然と合理的な解釈を探し、否定しようとする癖がついた。
本当はおっかないけれど、怖がらない姿勢ができた、とでも言おうか。

しかし、そんななかで、どうにも僕の頭では否定しきれなかった物がいくつかある。

寺の居間で、Aさん(仮名、中年男性)が、先週のことですが、と前置きしてから始めた話

490 本当にあった怖い名無し 2010/08/06(金) 22:56:46 ID:Q7CX8gv80
中国地方のとある県に旅行に出かけ、昼食に郷土料理を食べたが、それが身体に合わなかったらしく、店を出てから腹の具合が悪くなった。
田舎道なこともあり、トイレを借りられそうなコンビニなどはどこにも見当たらない。
車を停め、その辺の草むらで、とも思わないでもなかったが、せっかくの旅行に、ちょっと恥ずかしい思い出が追加されてしまうのも面白くない。
もう少し、もう少しと我慢を重ねつつウロウロするうち、村営会館の看板を見つけた。

矢も盾もたまらず駆け込もうとしたが、ちょうど玄関から出てきたおばさんと鉢合わせ、危うくぶつかりそうになった。
取り急ぎ、トイレを貸してくれと頼んだが、もう閉館時間で、私も鍵を閉めて帰るところだから、よそを当たってくれ、と、にべもない返事が返ってきた。
しかし、お腹がいよいよ差し迫っていたAさんには、とうてい聞ける話ではない。そこをなんとかと頼み込み、露骨にため息をつかれながらも、どうにか中に入れてもらい、トイレの場所を聞き、一目散に駆け出した。
古い木造建築なため、足音が大きく反響し、それがお腹に響くようで、嫌なおばさんへの腹立ちともあいまって、ここはひどく気に食わない所だと思った。

491 本当にあった怖い名無し 2010/08/06(金) 22:58:48 ID:Q7CX8gv80
飛び込んだトイレは、個室が三つある広いものだった。
Aさんは、切迫した状況ながらも、自分が帰った後、あの嫌なおばさんがもしも窓かなにかの確認に来た時に、においが残っているような状況になるのを避けようと、換気扇の有る一番奥の個室の戸を開けた。

しかし、(汚い話しで恐縮ですが)そのトイレは、前に用を足した人が、結構な量を排泄し、さらに流さずにそのまま出て行ったらしく、尋常ではないほどの量が残されていた。
Aさんは、これは下手に流したら詰まるかもしれない、と考え、急いで隣の個室に飛び込んだ。

なんとか間に合い、至福のひと時を味わっているうち、遠くから足音が聞こえてきた。ゆっくりとした足取りで近づいてきて、トイレのドア前の廊下で立ち止まった。
どうやらあのおばさんが急かしに来たらしい。
が、さっきのやりとりの中での、こころない対応に腹を立てていたAさんは、別段いそいで外に出ようとは思わなかった。
まさか男子トイレの中にまでは入ってこないだろう、とたかをくくっていたこともあり、心ゆくまでりきみ続けた。

493 本当にあった怖い名無し 2010/08/06(金) 23:00:40 ID:Q7CX8gv80
ようやくお腹がすっきりしたAさんが個室から出たのは、トイレに駆け込んでから五分ほど経ってからだった。
ドア前から去っていくような足音はしなかったため、どうやらまだ外におばさんはいるらしい。
意地悪を通り越して変人だな、と思いながら手を洗っているうち、奥の個室をこのままにしていたら、おばさんはAさんが残していったように思わないか、との疑問が湧いた。
しかし、流せるような量でもなかったし、どうしようか、と目を向けたところ、ふと違和感を覚えた。

ドアノブに、一部赤い部分がある。内側からカギが閉まっているらしい。近寄って確認したが、間違いない。

隣の個室にこもっていながら、ドアを開閉する音に気付かなかった事が不思議だった。まさかそこまでの爆音をお尻から奏でていたわけでもない。
廊下からの物音に注意を向けていたため、音には敏感だったはずで、そんななか隣の個室に人が入るなど、聞き漏らす訳もない。第一、隣は流さないと座る気も起きないほどの惨状だったはずだ。にもかかわらず、流した気配など微塵もなかった。

しかしまぁ、人が入ってるなら、流しに行く手間も省けたかな、と思い、廊下側に目を転じたところ、奥の個室から、トイレットペーパーを引き出す音が聞こえた。やっぱり人がいた、とのやや場違いにも思える安心感を覚えつつ、一歩踏み出した足が凍りついた。

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