殿堂入り怖い話
姦姦蛇螺(かんかんだら)

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だが、混乱しているのかAが上手く柵を上れずなかなかこっちに来ない。

オレ「A!早く!!」

B「おい!早くしろ!!」
Aを待ちながらオレとBはどうすりゃいいかわからなかった。

オレ「何だよあれ!?何なんだよ!?」

B「知らねえよ黙れ!!」
完全にパニック状態だった。

37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/02(月) 19:01:54.97 ID:Miqo0XRx0
その時
チリリン!!チリンチリン!!

凄まじい大音量で鈴の音が鳴り響き、柵が揺れだした。
何だ…!?どこからだ…!?オレとBはパニック状態になりながらも周囲を確認した。

入り口とは逆、山へ向かう方角から鳴り響き、近づいているのか
音と柵の揺れがどんどん激しくなってくる。

オレ「やばいやばい!」

B「まだかよ!早くしろ!!」

オレ達の言葉が余計にAを混乱させていたのはわかってたが、急かさないわけにはいかなかった。
Aは無我夢中に必死で柵をよじのぼった。

Aがようやく上りきろうかというその時、オレとBの視線はそこになかった。
がたがたと震え、体中から汗が噴き出し、声を出せなくなった。
それに気付いたAも、柵の上からオレ達が見ている方向を見た。

山への方角にずらっと続く柵を伝った先、しかもこっち側にあいつが張りついていた。
顔だけかと思ったそれは、裸で上半身のみ、右腕左腕が三本ずつあった。
それらで器用に綱と有刺鉄線を掴んでい?っと口を開けたまま、
巣を渡る蜘蛛のようにこちらへ向かってきていた。

とてつもない恐怖

「うわぁぁぁぁ!!」

Aがとっさに上から飛び降り、オレとBに倒れこんできた。
それではっとしたオレ達はすぐにAを起こし、一気に入り口へ走った。

後ろは見れない。前だけを見据え、ひたすら必死で走った。
全力で走れば三十分もかからないだろうに、何時間も走ったような気分だった。

38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/02(月) 19:02:36.75 ID:Miqo0XRx0
入り口が見えてくると、何やら人影も見えた。
おい、まさか…三人とも急停止し、息を呑んで人影を確認した。

誰だかわからないが何人かが集まってる。あいつじゃない。
そう確認できた途端に再び走りだし、その人達の中に飛び込んだ。

「おい!出てきたぞ!」

「まさか…本当にあの柵の先に行ってたのか!?」

「おーい!急いで奥さんに知らせろ!」

集まっていた人達はざわざわとした様子で、オレ達に駆け寄ってきた。
何て話しかけられたか、すぐにはわからないぐらい、三人とも頭が真っ白で放心状態だった。

そのままオレ達は車に乗せられ、すでに三時をまわっていたにも関わらず、
行事の時とかに使われる集会所に連れてかれた。

中に入ると、うちは母親と姉貴が、Aは親父、Bはお母さんが来ていた。
Bのお母さんはともかく、ろくに会話した事すらなかったうちの母親まで泣いてて、
Aもこの時の親父の表情は普段見た事ないようなもんだったらしい。

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