サイコ
ヒッチハイク

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間違いない。色合い、形、フロントに描かれた十字架…しかし、何かがおかしかった。
車体が何十年も経った様に、ボロボロに朽ち果てており、全てのタイヤがパンクし、窓ガラスも全て割れていた。
「すみません、5分で戻ります、5分だけ時間下さい」
とドライバーに説明し、トラックを路肩に止めてもらったまま、俺達はキャンピングカーへと向かった。
「どういう事だよ…」とカズヤ。こっちが聞きたいくらいだった。
近づいて確認したが、間違いなくあの変態一家のキャンピングカーだった。
周囲の明るさ・車の通過する音などで安心感はあり、恐怖感よりも「なぜ?」と言う好奇心が勝っていた。
錆付いたドアを引き開け、酷い匂いのする車内を覗き込む。

853 その16 sage New! 2009/12/24(木) 22:32:00 ID:o41n3rfp0
「オイオイオイオイ、リュック!!俺らのリュックじゃねぇか!!」カズヤが叫ぶ。
…確かに俺達が車内に置いて逃げて来た、リュックが2つ置いてあった。
しかし、車体と同様に、まるで何十年も放置されていたかの如く、ボロボロに朽ち果てていた。
中身を確認すると、服や日用雑貨品も同様に朽ち果てていた。
「どういう事だよ…」もう1度カズヤが呟いた。何が何だか、もはや脳は正常な思考が出来なかった。
とにかく、一時も早くこの忌まわしいキャンピングカーから離れたかった。
「行こう、行こう」カズヤも怯えている。車内を出ようとしたその時、
キャンピングカーの1番置くのドアの奥で「ガタッ」と音がした。ドアは閉まっている。開ける勇気はない。
俺達は恐怖で半ばパニックになっていたので、そう聴こえたかどうかは、今となっては分からないし、
もしかしたら猫の鳴き声だったかもしれない。が、確かに、その奥のドアの向こうで、その時はそう聴こえたのだ。

「マ ー マ ! ! 」

俺達は叫びながらトラックに駆け戻った。すると、なぜかドライバーも顔が心なしか青ざめている風に見えた。
無言でトラックを発進させるドライバー。
「何かあったか?」「何かありました?」
同時にドライバーと俺が声を発した。ドライバーは苦笑し、
「いや…俺の見間違いかもしれないけどさ…あの廃車…お前ら以外に誰もいなかったよな?
 いや、居るわけないんだけどさ…いや、やっぱ良いわ」
「気になります、言って下さいよ」とカズヤ。
「いやさ…見えたような気がしたんだよ。カウボーイハット?って言うのか?
 日本で言ったら、ボーイスカウトが被るような。それを被った人影が見えた気が…
 でよ、何故かゾクッとしたその瞬間、俺の耳元で口笛が聴こえてよ…」
「どんな感じの…口笛ですか?」
「曲名は分かんねぇけど(口笛を吹く)こんな感じでよ…いやいやいや、何でもねぇんだよ! 俺も疲れてるのかね」
運転手は笑っていたが、運転手が再現してみた口笛は、ミッ○ーマ○スのマーチだった。

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