サイコ
ヒッチハイク

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847 その11 sage New! 2009/12/24(木) 22:25:32 ID:o41n3rfp0
男子トイレに誰かが入ってきた。声の様子からすると、父だ。
「やぁ、気持ちが良いな。ハ~レルヤ!!ハ~レルヤ!!」と、どうやら小の方をしている様子だった。
その後すぐに、個室に入る音と足音が複数聞こえた。双子のオッサンだろうか。
最早、女の子の存在は完全にバレているはずだった。女子トイレに入った母の「紙が無い!」と言う声も聴こえた。
女の子はまだ泣きじゃくっている。やがて、父も双子のオッサン達(恐らく)も、トイレを出て行った様子だった。
おかしい。女の子に対しての変態一家の対応が無い。やがて、母も出て行って、変態一家の話し声が遠くになっていった。

気づかないわけがない。現に女の子はまだ泣きじゃくっているのだ。
俺とカズヤが怪訝な顔をしていると、父の声が聞こえた。
「~を待つ、もうすぐ来るから」と言っていた。何を待つ、のかは聞き取れなかった。
どうやら双子のオッサンたちが、グズッている様子だった。
やがて平手打ちの様な男が聴こえ、恐らく、双子のオッサンの泣き声が聴こえてきた。
悪夢だった。楽しかったはずのヒッチハイクの旅が、なぜこんな事に…
今まではあまりの突飛な展開に怯えるだけだったが、急にあの変態一家に対して怒りがこみ上げて来た。
「あのキャンピングカーをブンどって、山を降りる手もあるな。あのジジィどもをブン殴ってでも。

 大男がいない今がチャンスじゃないのか?待ってるって、大男の事じゃないのか?」
カズヤが小声で言った。しかし、俺は向こうが俺達に気がついてない以上、
このまま隠れて、奴らが通り過ぎるのを待つほうが得策に思えた。
女の子の事も気になる。奴らが去ったら、ドアを開けてでも確かめるつもりだった。
その旨をカズヤに伝えると、しぶしぶ頷いた。それから15分程経った時。
「~ちゃん来たよ~!(聞き取れない)」母の声がした。待っていた主が駐車場に到着したらしい。
何やら談笑している声が聞こえるが、良く聞き取れない。再び、トイレに向かってくる足音が聴こえて来た。

848 その12 sage New! 2009/12/24(木) 22:26:35 ID:o41n3rfp0
ミッ○ーマ○スのマーチの口笛。アイツだ!! 軽快に口笛を吹きながら、大男が小を足しているらしい。
女子トイレの女の子の泣き声が、一段と激しくなった。何故だ?何故気づかない?
やがて、泣き叫ぶ声が断末魔の様な絶叫に変わり、フッと消えた。
何かされたのか?見つかったのか!? しかし、大男は男子トイレににいるし、
他の家族が女子トイレに入った形跡も無い。やがて、口笛と共に大男がトイレを出て行った。
万が一女の子がトイレから連れ出されてはしないか、と心配になり、危険を顧みずに
一瞬だけトイレの裏手から俺が顔を覗かせた。テンガロンハットにスーツ姿の、大男の歩く背中が見える。

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