厳選怖い話
ごうち

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 だから、これでは篭った念が強くなりすぎて、ある日突然狂ったように暴れだす、ということにもなりかねません。
 そこで、巧妙な仕掛けを作った。この仕掛けこそが、誰だかは分かりませんが、能力のある人物のアドバイスによって作られたものでしょう。
 それがこの水路です。

 この水路は幼児の頭にあたる部分を通っていますが、ここの結界をわざと弱くした。そのため、飽和した念や恨み、穢れといったものはここから水路に流れ込みます。そしてこの水路は近くを流れるE川につながっています。こぼれ出た念を水に封じ込め、そのまま水やその他自然の力によって弱めながら海まで運ばれ、拡散される。実にうまい仕組みだと思いますよ」

867 添い寝 sage New! 2007/03/29(木) 15:43:04 ID:RJO9BJ3Y0
「俺もそれは知らなかった。気づかなかった」とシブヤ氏。
「“ごうち”を見たとき複雑な結界が感じられたので、地形を調べようと思ったのです。こういった言い方は不謹慎かもしれませんが、私にとっても思わぬ収穫でした」オオサキ氏が言う。

「で、今回の出来事は、土地開発によってそれが壊されたから起こったのですか?」とアキバが聞く。

「まったくその通りです」
「それにしてもおかしい。それなら“ごうち”により近い区画や、隣接部分の多い区画に、より酷い災いが起こってもおかしくないわけですが、あそこだけに集中している」
「はい、それでは、これをご覧ください」
彼は、また1枚の地図を出した。
「これはアキバ社長のお父上が分譲した区画図ですが、これもどことなく人型に見えるでしょう?」
確かに、トイレを示すマークをいくらか崩したような形に見える。
「そして“ごうち”とこの区画の位置関係は、このようになります」
また地図を出す。それには2つの土地が赤鉛筆で囲ってあった。

「これ、肩の部分にあたるところが隣接しているでしょう。
 母親、もしくは父親が子供に“添い寝”をしているように見えませんか?」

「あっ!」と声があがる。

確かにそう見えた。病気の子供をいたわって、親が添い寝している情景が浮ぶ。

「管理がおろそかになって、結界も弱くなり、所々綻びもでているのでしょう。さらに今は念を逃がす水路は存在しません。
 だから、その負の念は、隣の添い寝している人型へ移っている。

 人型から人型へ、他に流れ込むより自然だとは思いますよ。
 分譲地が人型になったのは偶然でしょう。しかしその結果、分譲地も“代”としての役割を受け持つことになってしまった。人型の分譲地に住む人たちも、人間である以上、負の気持ちはあるはずで、忌みごとや昔でいう穢れももっているでしょう。そうしたことが、念を増幅させてしまい、
その偶然が今回の不幸なことを招いてしまったみたいですね」

868 添い寝 sage New! 2007/03/29(木) 15:44:07 ID:RJO9BJ3Y0
「・・・・」俺もアキバも言葉が出ない。

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