厳選怖い話
ごうち

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「ことは緊急を要します。すでに10人が亡くなっている。明日にでも応急処置にしかなりませんが、簡単なお祓いをいたします。

 それから、これは私が強制できることではありませんが、“ごうち”を昔の状態に復旧したほうがいいと思います。」

オオサキ氏によると、アキバの親父さんの死はこれとは関係がないとのこと。人型の区画に長時間住んではじめて影響があるのであって、短期間入ったくらいでは命まで失うことはないだろう、おそらく医者嫌いだったのが原因ではないだろうかと。

しかし、神主はそうかも知れないと。強力な念が流れ込む土地にたいして型どおりの儀式を行ったとしたら逆効果で、地鎮祭を見たわけではないから断定はできないが、影響はあったのではないかと言っていた。

869 添い寝 sage New! 2007/03/29(木) 15:44:41 ID:RJO9BJ3Y0
その後。
アキバはオオサキ氏に正式なお祓いを依頼したが、彼いわく、
「依頼をされればやるが、それは一時凌ぎにすぎないし。報酬ももらわなければならない。

それより、一日も早く土地を元に近いように復旧して、根本的に解決させることが重要。
今では昔の風習が無くなっているのですから、元の仕組みを復活させれば“ごうち”はその役割を終えて普通の土地に戻るはず。それなりの年月は必要だとは思いますが」
結果的に、土地を改良するといっても、役所の認可など様々な手続きがあるうえ、工事にも時間がかかるので、アキバはお祓いを頼み、その後根本的な対処を行うことになった。

また、お祓いを頼んだのはオオサキ・ウエノ両氏へのお礼の意味でもあった。

お祓いは、オオサキ氏が主導して、ウエノさんが補佐という形で行われた。なぜかオオツカ氏も「お手伝い」として参加している。役に立ったのだろうか…?
また、ギャラリーにはカンダ婆さんも現れた。そして、その後の土地改良計画を聞いて、「これで私も安心して死ねる」と笑った。

蛇足ではあるが、この後、オオツカ氏がオオサキ氏に弟子入りを願い出て、オオサキ氏は断るのに難儀したらしい。

土地の改良は、町とも相談した結果、アキバ、カンダ婆さん、シブヤ氏をはじめとする地元の古くからの住人の一部が出資し、水路を戻し、木を植え、小さな公園と合わせて親水公園のようなものとして、それを町に寄付する形になった。

水路は多くの部分が暗渠となったが、オオサキ氏によればさほど問題はないだろうとのこと。
ただし「ごうち」であった部分はビオトープのようなものにして、自然保護を理由に立ち入り禁止とした。
それは、その後1年のうちに行われた。

そして、それから約2年が過ぎましたが、人型の分譲区画で自然死以外での死亡は発生していません。偶然といってしまえばそれまでですが、やはり怖かった・・・
(なお、人物はすべて仮名です。分かった方もいるとは思いますが、山手線の駅名から 拝借しました。またアルファベットも頭文字や関係のある文字ではありません)

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