この怖い話は約 3 分で読めます。
俺がまだ学生だった頃、大学の先輩がどこからか怪談話を聞いてきて、得意げに
サークル部屋で話していた。
その話というのが、60年代か70年代頃、当時うちの大学もいわゆる安保闘争とかいうやつで
学生運動が盛んだったのだが、その中の結構な数の一団が、よくあるなんちゃってテロ
みたいな活動ではなく、何かオカルト的な儀式による革命?みたいなのに大真面目
にはまっていたらしく、大学の裏山の既に使われていない建物内で何らかの儀式を
したらしいという話だった。
そしてここからがありがちな話なのだが、儀式の結果「何か」を呼び出してしまったようで
学生の何人かがそれを見て発狂、殺人事件にまで発展したと。そして今でもその
廃屋にはその時殺された学生や「何か」がまだ潜んでいるという、そんなベタな話だった。
俺は「オチそんだけかよ!」と心の中で突っ込みいれながら、たしかに大学の裏に小さな山が
ある、そこの大部分は森と言うか藪だが、そもそもあそこに建物なんてあったっけ?
あれば気づくよなぁなどと考えていると、先輩が突然「今日の夜その建物探しに行こうぜ!」と
わけの解らない事を言い出した。
その時部屋にいたのは俺と先輩、そして俺と同じ1年のTとMだったのだが、ノリノリなのは明らか
に先輩だけで俺とTとMは顔を見合わせて「マジか…」と明らかにめんどくさそうに顔を見合わせた。
さっきまでいた他の先輩達はいつの間にかいなくなっている、多分「色々察して逃げた」のだろう…
実はこの先輩、普段から面倒見が良く凄くいい人で周囲の評判も良く友達も多いのだが、なんと
いうかやたらこの手の話に騙されやすいうえに無駄に行動力があって、「良い人」ゆえに俺達は
断れず何度か先輩のこの手の「探検」に付き合わされたことがあったのだ。
その夜、俺達は結局先輩の探検に付き合いその建物を探す事になった。
季節は夏、山の中に入れば当然ヤブ蚊とかがいっぱいいるし、夏なのでやたら暑い、要するに
山の中を歩き回れば蚊に刺されまくるし無駄に汗だくになるという事だ。
俺はぶっちゃけ、建物は見付からず朝まで山の中を歩き回る事になるんだろうなと覚悟を決めていた。
778 2/5 sage 2011/05/09(月) 19:10:40.99 ID:y/gqzRFa0
やたらハイテンションな先輩、そしてこの後の展開を考えて色々と重苦しい雰囲気の俺とTとMは、
大学の裏道から雑草が生い茂り明らかに何年も人が入っていない山道を進んでいった。
山道に入り40分ほど歩いた時だろうか、なんと意外とあっさりとコンクリートでできた小さな資材置き場
のような建物を見つけた。
俺とTとMは意外と早く見付かった事にホッとし、どうも先輩もこんなにあっさりみつかると思って
いなかったらしく更にテンションが高くなっている。
ぶっちゃけて言うと、建物があったが実際問題ここが目的の場所かどうかなんて解らない。解らない
のだが、「次を探そう」などと言われたらたまらない俺はそのことは黙っていた。