殿堂入り怖い話
白い傘と白い服

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すごく怖くなって、脇目もふらず大通りまで走った。
頭の中では自分に向かって
(これはただ雨が少し強くなってきたから、濡れたくないから走ってるだけ)って言い聞かせた

大通りまで出るとさすがに数台の車が走っていてすこしホッとした
大通りを渡るときに右を見たけど人影はなく、それ以前に向こうの
路地から大通りへ出ても横断歩道がないのだから渡れるはずもない

それでももしかしてと、大通りを渡ってひとつめの
路地を横切るときに勇気を振り絞って右を見てみた。
誰も居なかった

その後の路地を横切るときも誰も見えなかった。
当たり前だよなーと落ち着きを取り戻して歩き続け、
この路地を曲がればさぁもうすぐ家だと、いつものところで右へ曲がった
奥の路地から、白い傘を差した人が出てきた

え?って思ったときには、白い傘を差した人は路地を曲がってこちらへ歩いてきた

鳥肌がたった。
やばって思ったときにはもう元きた道を走ってた。
見られないように全力で走ってひとつ前の路地を曲がった

なのに曲がった路地の奥の道から白い傘をさした人が歩いてきた。
道の真ん中まで出てきて、そのままの体勢のまま不自然な感じで
グルンッとこちらに向き直って歩を進めてきた

寝静まって真っ暗な住宅街のど真ん中で、
道が交差する付近には街灯があるものだから、白い傘と白い服はものすごくはっきり目に映った
深夜だっていうのに大声が出た。うわぁああ!って感じの。
持ってた傘もコンビニの袋も放り投げて、一目散にその場から走った

走りながら友人に電話をかけて寝てるところ起こして、今から行くから家に入れてくれとお願いした
数時間前に送ったばかりだっていうのに友人はOKしてくれて、
助かったと急いで走って向かったのだけれど大通りを越えて、
コンビニを過ぎ、道路を横断して曲がろうとした先で白い傘を差した人が立っているのが見えた

もうこの時には”なんで”としか考えられなくて、曲がるのをやめて
そのまま次の路地を目指したんだけど、そこでも白い傘を差した人が奥の路地から出てきた
もう嫌だと思いながら道を先に進んでいると、携帯がなった。

けれどおかしなことに着信ではなく不在着信の表示、しかも3件
時間を確認するともう4時を回っていて、自分の中での時間はまだ
10分程度だと思っていたのに既に1時間近く経っていた
町から出ていないし、それ以前に曲がれないからこの通りを抜けていないのに。
住んでるはずの町が知らない町のようですごく怖くなった

友人に電話をすると「まだ?今どこ?こないの?」と眠そうな声が電話から聞こえてきた
「行きたいけど無理、曲がれない、曲がった先に白い傘を差した何かが先回りしてる」って
きちんと言えたかわからないけど伝えると、

友人は「何言ってるかわかんないけど、先回りされるなら追わせればいいんじゃない?」って返してきた。
でも言われても何も考えられなくて「え?え?なにいってんの?意味わかんねー!!」って返すのが精一杯

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