洒落怖
みさき

この怖い話は約 6 分で読めます。

381 :みさき@\(^o^)/:2015/03/31(火) 18:04:09.11 ID:srUp3oHH0.net[3/40] アチメ オオオオ オオオオ オオオオ 天地ニキ揺ラカスハ サ揺ユラカス 神ワカモ 神コソハ キネキコウ キ揺ラナラハ アチメ オオオオ オオオオ オオオオ 石ノ上 布瑠社ノ 太刀モガト 願フ其ノ児ニ 其ノ奉ル アチメ オオオ オオオ オオオ 猟夫ラガ 持タ木ノ真弓 奥山ニ 御狩スラシモ 弓ノ弭見ユ アチメ オオオ オオオ オオオ 上リマス豊日霎カ 御魂欲ス 本ハ金矛 末ハ木矛 アチメ オオオ オオオ オオオ 三輪山ニ アリタテルチカサヲ 今栄エデハ 何時カ栄へム アチメ オオオ オオオ オオオ 吾妹子ガ、穴師ノ山ノ山ノ山モト 人も見ルカニ 深山カ縵為ヨ アチメ オオオ オオオ オオオ 魂筥ニ 木綿取リシデワ 魂チトラセヨ 御魂上リ 魂上リマシシ神ハ 今ゾ来マセル アチメ オオオ オオオ オオオ 御魂ミニ 去マシシ神ハ 今ゾ来マセル 魂筥持チテ 去リクルシ御魂 魂返シスナ

『鎮魂歌(年中行事秘抄)』

383:みさき@\(^o^)/:2015/03/31(火) 18:06:42.44 ID:srUp3oHH0.net[5/40]
概要

1992年7月7日。火曜日。この日、吉野さん一家は一人娘の美咲ちゃんの誕生日を前日に控え、家族三人で近所の商業施設、つかしん(西武百貨店)に買い物に出かけていた。父親の義弘さんは当日午後から半休を取っており、会社帰りに自宅の最寄り駅である阪急稲野駅で妻の美幸さん、娘の美咲ちゃんと合流、その後、家族三人でつかしん内の飲食店で昼食を食べ、美咲ちゃんの誕生日プレゼントを買って帰路についた。事件は、その道中で起こった。

午後四時ごろ、吉野さん一家は御願塚古墳という小さな古墳の前を通りかかる。御願塚古墳とは吉野さん宅の南東にある、全長約50メートル、高さ約七メートルほどの比較的小さな古墳である。周囲に壕を巡らせた小高い山の頂上には小さな広場があり、そこには南神社という小さなお社が祭られている。その神社に通じる鳥居の前に差しかかったとき、突然美咲ちゃんが足を止め「お参りがしたい」と言い出した。

吉野さん夫婦は当初それを美咲ちゃんの何気ない気まぐれだと思い取り合わなかったが、美咲ちゃんがどうしてもと言うことを聞かず(義弘さんによれば、それまでに一度も見たことのないくらいの必死さで)その場を動こうとしないので、仕方なくお賽銭にと五円玉を持たせて、古墳の上にある神社に行くことを許した。

このとき吉野さん夫妻はふもとの鳥居の外で待っていたが、その場所から神社までの石段は視界が開けており、距離もたかだか10メートル足らずである。そして、吉野さん夫婦は、たしかに美咲ちゃんが頂上に上ったのを確認している。

五分ほどたった後、戻ってこない美咲ちゃんを心配した義弘さんは、美咲ちゃんを探して頂上への石段を登った。大人の足でなら急ぎ足で10秒といったところだろうか。頂上の社殿がある広場についた義弘さんは美咲ちゃんを探したが、そこには美咲ちゃんの姿はなかった。広場は直径約15メートルの円形で、社殿のほかには何もない。義弘さんは美咲ちゃんの名前を何度か呼んでみたが、返事はなかった。

頂上までの間には、古墳を周回する周遊路があり、頂上からぐるりと見おろせたが、そこにも人の姿や気配はなかったという。 不安に駆られた義弘さんだったが、石段を使わずに中腹の周遊路に下りることも不可能ではないため、入れ違いになった可能性を考えていったん妻の美幸さんの待つ鳥居に戻ってみることにした。

その途中で一応周遊路をぐるりと一周し、どこかで転んで怪我をしているのではないかと注意深く周囲を探したが、やはり美咲ちゃんの姿はなかった。 仕方なく鳥居に戻った義弘さんだったが、そこには美幸さんが不安そうな顔があるばかりで、やはり美咲ちゃんの姿はなかった。

古墳全体は雑木に覆われてはいるものの、その間隔はまばらで視界は比較的ひらけている。美幸さんも義弘さんを待つ間中ずっと美咲ちゃんを探していたが、美咲ちゃんの姿は見ていないという。

美幸さんと合流した義弘さんは、誰も石段を降りてきていないことを確認すると、再び頂上の社殿へと向かった。もう残る場所は、社殿の中しか考えられなかったからだ。古墳の周囲を囲むお濠は比較的小さいものの、その幅は約8メートル。狭いところ(鳥居付近)で5もメートル弱、広いところでは11メートルにもなる。とても6歳の女の子が渡れるような長さではないし、当然柵も設置されていた。美咲ちゃんは、どう考えてもこの古墳から外に出ていない。出られるはずがなかったのだ。

社殿へと向かった吉野さん夫妻は、なりふり構わずお社の戸に手をかけた。が、その戸は頑丈に施錠されており、開くことはなかった。内側を覗いてみても、人間がいるような気配はなかったという。夫妻が目を離したわずか五分の間に、美咲ちゃんの姿はまさに煙のように消えてしまったのだった。

午後四時二十五分。稲野駅前交番に吉野さん夫妻は駆け込む。 警察は失踪の可能性と古墳の周囲のお濠に転落した可能性の両面から捜索をしたが、美咲ちゃんは見つからなかった。警察犬も広場から出ようとせず、臭いを追えなかった。営利誘拐の可能性も考えられたが、犯人からの要求がなかったため警察は失踪事件として捜査している。

翌日の午前十時半ごろ、吉野さん宅に謎の電話がかかっている。電話を受けたのは妻の美幸さんだった。電話の主は舌足らずな女性で、年齢までは分からないが、娘ではないように思ったと美幸さんは語っている。警察は、この電話の発信者の特定には至っていない。

補追 「御願塚古墳全体図」

実際に足を運ぶと、現場は想像よりもはるかに小規模で、高さは7メートルとのことだが、実際の感覚ではもうすこし低く感じられる。子どもの足でも頂上まで30秒はかからないだろう。

生い茂る樹も手入れがなされていて、仮に美咲ちゃんがいたずら心から一時的にどこかに隠れたとしても、その後も両親から隠れ続けることは不可能に思えた。墳頂部の広場には社殿以外に何もなく、木の一本すらも立っていない。社殿は広場の南西隅に建っていて東側は開けていた。

社殿の裏側も整然としていて、とくに隠れられるような場所は見当たらない。社殿には金属製の戸がついており、社殿自体もそう古いものではなく、全体的にがっしりとした作りになっている。

内部は暗く確認できなかったが、きっちりと施錠されており大人でも進入は不可能だろう。周遊路にも降りてみたが、上から見たときと同じく、意外にも視界は良い。木立に遮られていても、人がいれば必ず分かると断言できる。

また、土を踏みしめる音や落ち葉や草を踏む音を立てずに歩くことも、子供には困難だろう。古墳入り口の濠にかかる木作りの橋も、踏むと思った以上に大きく軋み、これはある程度遠くにいても聞こえる。両親の耳にこれが聞こえなかったことは考えにくい。

周囲を囲む濠の幅は約5メートルから10メートル。もっとも狭い場所であっても、飛び越えることは大人でも不可能だろう。水面は淀んでいて深さは分からないが、子どもが短時間でこれを渡ることも、到底不可能に思われた。

古墳の入り口(鳥居正面)は県道336号線に面しており、交通量は少なくはないが人通りはまばらだった。美咲ちゃんの失踪が誘拐によるものだとすれば、車を横付けできるこの場所は犯人にとって好都合だったと言えるが、失踪当時は鳥居の前に母親の美幸さんがずっと立っており、不審な車や人影は見ていないという。古墳から美咲ちゃんが出て行くには正面の鳥居を通らざるを得ないことを考えれば、車による連れ去りの可能性は低いだろう。

この怖い話にコメントする

みさき
ここ1週間でよく見られています
ここ1か月ででよく見られています
サイト内でよく見られています