洒落怖
クルージング

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親父が思わず「おおっ!」と驚きの声をあげると、Hさん、Jさんも目が覚めたようで
船尾から上がってデッキでドタドタやってる親父のところに寄ってきた。
親父が海水を汲んだバケツにイカを入れなが事情を説明すると、Hさんは「じゃあ、ワシもやってみるわ」と言い
タモ持って船尾に降りて行った。
319 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2015/06/13(土) 20:13:31.12 ID:ZdsK0XGH0.net[6/11]
親父とJさんが「アオリイカかな?」などとイカについて喋ってると、ドボン!と大きな水音がした。
まさか!と思い船尾を見るとHさんの姿がなく、バシャバシャやってたイカの群れも消えている。
これは身を乗り出しすぎて落ちたな、と思いながらも親父はHさんは泳ぎも上手く、波もまったく無いので
すぐに浮き上がって泳いで帰ってくるだろうと思い楽観していたが、Hさんが浮かび上がってきたのは
なぜかヨットから5m近くも離れた場所で、しかも懸命にもがいていた。

溺れたHさんを助けようと親父が反射的に海に飛び込もうとすると、Jさんがすごい力で親父の腕を押さえつけて
怖い顔で「救命用の浮き輪を投げて引っ張りましょう!」と言う。

親父はどう考えても飛び込んだ方が早いと思ったが、普段の冷静なJさんの様子が何かおかしく
鬼気迫るものがあったので、デッキにある備え付けの救助浮き輪を外し、Hさんめがけて投げつけた。
上手く近くに着水した浮き輪をHさんが掴んだのを確認して、親父とJさんは浮き輪に結び付けてるロープを引っ張ったが
Hさんがこちらに向かって泳いでいるのに、何かに流されてるようで中々思うように引き上げられない。
しかも、Hさんの周りの波の動きが妙な感じで、なにかが泳ぎまわってるようだった。
320 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2015/06/13(土) 20:14:39.91 ID:ZdsK0XGH0.net[7/11]
Jさんは引っ張りながら大声でヨットの中で寝てる友人二人を呼び、起きたばかりで状況のいまいちわかってないながらも
親父とJさんの作業を手伝い大の男4人掛りで何とか引き上げに成功した。

親父が「大丈夫ですか!?」とHさんに呼びかけると、肩で息をしていたHさんが「出すぞ!!!」と周囲に響き渡るような
大声を上げた。それが合図になったかのかJさんは物凄い勢いで係留ロープを外し、ほぼ同時にHさんがエンジンをかけて
普段のHさんからは想像もできない荒い操縦でヨットは桟橋から離れた。

親父にはHさんを引き上げたあたりからずっと「ンゥゥゥゥ~ゥゥン~ゥゥン…」と
牛蛙の鳴声のような男の鼻歌のような声が聞こえおり、入り江から出た後もずっと聞こえており、
操縦しているHさんの様子も明らかにおかしく、ただ事ではない事態に巻き込まれたのは間違いない。
Hさんに何があったのか問いただそうとすると、Jさんが「あかん…追ってきてますわ…」と震えながら言う。
321 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2015/06/13(土) 20:16:28.90 ID:ZdsK0XGH0.net[8/11]
JさんはHさんが落ちた時に、その周囲には人間の子供ぐらい大きさのの異様に白い”なにか”が複数見えたそうだ。
親父が飛び込もうとした時にそいつらは一斉にJさん、親父の方を向いたが、ライトの光を反射とかそういうレベルじゃなく
目が真っ赤に光っていたと。今は見えないが気配だけは島から離れた今もずっと付いてきている気がすると。
親父が妙な声が聞こえるかと尋ねると無言で首を縦に振った。

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