洒落怖
マガガミさん

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太郎が笑ってた。花子も二郎も笑い出した。白目は浮かんでるまま。もう耐えられなかった。
半狂乱になりながら、俺は走って小屋を出て山を降りた。ずっと後ろから「ヒョアヒョアヒョアヒョア」
って聞こえてきてた。涙と鼻水を撒き散らして逃げた。
山を降りたら、まだ昼間だった。とっくに夜になってると思ったのに。
山を降りて村に出て、最初に会ったのは太郎と花子のじいちゃんだった。
「梅!なんや、お前、お前は!お前はあぁぁァア!」
いつも優しかった姉弟のじいちゃんは、口から泡みたいな唾を吐きながらすごい勢いで俺に近づいてきた。
「いったんか!いったんか!いったんか!」
キチな形相で俺を揺さぶり問い質すじいちゃんに、俺はすべて伝えた。。
山に入って池と小屋をみたこと、太郎のした話、白目とネチャネチャの話、三人が狂った話、まだ山にいる話。
何度も舌を噛みながらもしゃべって、三人を助けてくれ、白目は何や、俺も呪われたんか、あそこは何なんや、と叫んだ。じいちゃんは
「もうええ、もうええ、梅だけは大丈夫や、梅は助かった、大丈夫や」
と言いながら俺を抱きしめてくれた。

990 本当にあった怖い名無し New! 2012/08/21(火) 13:11:27.37 ID:oCbQ0ff+0
俺だけは、って、それじゃあ太郎たちは?じいちゃんの孫は太郎たちで、俺じゃないのに、なんで心配しない?
色々パニックになったが、なぜか俺は、じいちゃんに俺の体についたネチャネチャがついちゃダメだ、と急に思って、じいちゃんを引き剥がした。
そして、自分の体についたものをみた。
それは、すごくマヨネーズに似ていた。ただし色は黒と赤のまだら。ネチャネチャ具合がマヨネーズなかんじ。そして、とても臭かった。鼻をツンとさせる匂い。
とりあえずそのあたりで記憶が途切れた。次に気づいたら、俺は婆ちゃん家の広間で寝てて、まわりには大人がたくさんいた。
両親は号泣しながらも俺に話かけず正座してて、他の人たちもそれは同じ。
太郎たちの両親もそこにいたけど、泣きながら俺を見ていたが黙ってた。そこで俺は自分の体が動かないことに気づいた。縛られてたわけじゃないのに、何故か動かない。
声も出せない、ただ目が開けられるだけの状態。なんだこれ?と、またパニックになってたら、太郎の婆ちゃんがやっと話しかけてきた。
「梅ぼん、婆ちゃんの右の目、見てみい」
太郎の婆ちゃんの右の目は昔事故でなくしたので、義眼がはまってる。それは知ってたし、今さら見て何になるんだろう、と思ったが言われるままに見た。

「どしてん、別にいつもとおんなじや、焦点は変やけど、婆ちゃんの目や」

先程まで出なかった声が出た。
とたんに大人たちはワアッと歓声を上げて、良かった良かった、梅は助かった、と抱き合って泣きだした。

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