洒落怖
怪談テープ

この怖い話は約 3 分で読めます。

元テープを再生してみると、やはり2話目の途中、一回目の時とまったく同じところだった。
録音側も確かめてみるが、同じ所で音がプツっと無くなっている・・・。
だんだんと気味が悪くなってきた。
時計を見ると3時半を過ぎている。
「まいったなぁ、返さなきゃいけないのに。」
元テープを巻き戻しながら、新しいテープを探した。
当時はFMラジオのエアチェックなどもしていたので、テープを買いためてあった。

186 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:2001/03/06(火) 23:35
元テープの止まる所が同じなら、最初から不良品なのかも知れないと思い
音は出さないままで最初から再生してみる。
だいたい頭から20分前後の所で止まっているはずである。
時計と雑誌を交互に眺めながら、時間が過ぎていく。
部屋の中にはテープのヒスノイズだけが響いていて、なんとも奇妙な雰囲気。
15分後、止まる様子は無い。
問題の20分が過ぎ、やがてガチャンという再生ボタンのもどる音でA面が終了した。
元テープには異常は無さそうだ。
先程探し出した、真新しい60分テープを取り出した。
用心のため一度全部、巻送ってから巻き戻した。
準備は出来た。音は出さなきゃいいんだし、部屋に居ることにしよう。
これで最後にしようと3度目のダビングを始めた。

187 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:2001/03/06(火) 23:35
カーテンの隙間から光がもれてきた。
空が明るくなりはじめているのに助けられて、ボリュームをほんの少しだけ上げて、音を出した。
第1話の終りぐらいの所だ。
度胸を決めて、そのまま聴き続けることにする。
やがて2話目が始まった。また背筋に冷たいものを感じる。
話が進んで、その場面が近づいてきた。デッキのカウンターを見るとやはり、20分の表示。
何度も聴いた稲川淳二のそのフレーズが聞こえたところで、
『ガチャン』
テープは止まった・・・。

どうするべきか、しばらく考えた後、
録音側、再生側の両方のボタンを同時に押した。
ボリュームを0に絞って、布団に入った。部屋の電気は付けたままにして。
とにかくダビングだけして、返そう。そう考えた。
今にしてみれば、それが間違いだったのかもしれない。

188 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:2001/03/06(火) 23:38
翌日、バイト先でテープを返す時、
「これ途中で止まったりしたことある?」
と、聞いてみた。彼女は一度しか聴いて無いけど、そんなことは無かったと言っていた。
これから友達に会って、このテープを貸す約束をしていると。
「どう?怖かったでしょ。」
ダビングさせてもらってあって、まだ聴いて無いと伝えた。
すると、他のバイト仲間で聴きたがっているA君に貸してあげて欲しいと言われた。
当分、この元テープは彼女の友達の間を渡り歩くから、と。
その時は自分自身、テープを聴く気にはなれなかったので了解して明日渡す約束をした。
彼女が帰った後、A君に昨晩の出来事を話した。
彼は非常に興味を持ち、途中が切れててもイイから是非貸して欲しいと言った。

この怖い話にコメントする

怪談テープ