洒落怖
色街

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954 946 sage 2007/05/08(火) 00:02:11 ID:GNRW9eX20
眠りについてどのくらい経ったのだろう?
私は顔を髪の毛でくすぐられるような感覚で目を覚ました。
目は覚めたけれども体は動かない。
声を出して人を呼ぼうとしても声が出ない。
金縛りだ。
金縛りの経験は何度かあるので私は落ち着きを取り戻した。
眼球は動かせるので部屋の中に視線を走らせた。
その時だった。
突然目の前の空間に先ほどの青白い女の顔が浮かんでいた。
鼻の頭が触れ合いそうな至近距離に!
女は先ほどの店の前で見た白いキャミソールの女だった。
女の双眸は私の目を覗き込んでいた。
私は恐怖で発狂寸前だった。
目を閉じようとしても閉じられない。
恐怖に固まっていると唇に不意に冷たい感覚を感じた。
女の唇が私の唇に重ねられている!
そして、冷たい舌が口内に侵入してくる感覚・・・その冷たい舌に私の舌は舐られた。口の中に鉄臭い血の匂いが広がった・・・
私は全身の骨が砕けてもいいと思って自分の体をベットから引きはがした。
友人が帰ってきて私を起こした時、私は鼻血を流しながらフローリングの床に横たわっていた。
夜が明け、朝日を浴びると前夜の事が嘘のように私の体調は元に戻った。
念のために医者にも掛かったが特に問題はなく予定どおり同窓会とツーリングに参加して私はまた忙しい日常へと戻って行った。

955 946 sage 2007/05/08(火) 00:02:48 ID:GNRW9eX20
あの恐怖の体験から2・3ヶ月が経った頃、私は偶然以前付き合ってた元カノと食事をすることになった。
取り留めのない会話をしていると元カノが突然真剣な目つきで私に言った。
「**ちゃん、あなた、物凄くイケナイ場所に行かなかった?」
私はどきっとして「えっ?」と答えた。
元カノは良く言えば「霊感の強い」女、所謂「電波」とか「不思議ちゃん」
といった類の女だった。
おっとりとした美人で気立ても良く、正直未練もあったが、彼女の「電波」、それ以上に彼女の母親の電波の出力に耐えかねて分かれることになった。
母娘揃って怪しげな宗教に嵌まり込んでおり、母親の方は拝み屋の真似事までしていた。
「早くお祓いした方がいいよ。お母さんに頼んであげようか?」
「いいよ。お前の家には絶対に行かないよ。分ってるだろ?」
「そう言うと思った。代わりにこれを身に付けていて。絶対に手放しちゃダメだよ」
そう言うと黒い石に何か文字のようなものが彫ってあるチョーカーを渡した。
元カノの言葉に従って私はそのチョーカーを身に付けた。
数々の逸話から元カノ母娘の力が「本物」なのは確かだったからだ。

956 946 sage 2007/05/08(火) 00:03:41 ID:GNRW9eX20
やがて年が開け新年を迎えた。
年明けのあいさつ回りで偶然に取引先の会社で私は中学時代の同級生と再会した。
何度か食事や遊びに行って、バレンタインデーに告白されて私と同級生は付き合うことになった。
GW私と彼女は二人で温泉旅行に出掛けた。
私はプライベートでは基本的にバイクにしか乗らない人間で、車は家のボロイ営業車しかない。
温泉旅行は彼女の車に乗って、彼女の運転で行った。
彼女と部屋でエッチしたあと、私は一人で露天風呂に入りに行った。
脱衣所で服を脱ぎ、元カノに貰ったお守りのチョーカーを外してバスタオルの上に置いた。
夜遅い時間だったので露天風呂に入っていたのは私だけだった。
風呂から上がって脱衣所に行くと籠の中のバスタオルの上に置いたチョーカーがない。
籠の中や脱衣所の中を一通り探したが見つからず、フロントにも頼んだが結局見つからなかった。

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