洒落怖
トンネルにて

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「う~ん、何といっても昨日初めて心霊体験をしたばっかりだからね、ストレスから来るものじゃないかな。」
おいおい、アンタ何いきなり無責任なこと言っちゃってるのよ。これが俺の感想。
しかしMの顔は徐々に晴れやかになっていっていた。
やはり当事者からすると、科学的な答えを貰ったら安心してしまうのだろうか。
その後は普通にプレステで遊んだりして、その夢のことには誰も何も触れなかった。
途中、Mが彼女との約束を思い出したとかで、先に帰ってしまった。
俺も一緒に帰ろうかとも思ったが、丁度ゲームも白熱していたので、少し残ることにした。
Mを見送ってきた先輩が、2人きりになった部屋でよいしょ、とベッドの上に腰掛けた。

160 前スレ>>933後日談 sage 2006/11/03(金) 15:20:01 ID:V0jk0lgW0
「・・・いや実はさ、Mのことなんだけど、アレ僕の悪戯なんだ。」
「え?えぇ!?」
またまたとんでもない事を言う。悪戯?夢の中で?
「そんな事できるんですか?」
もうこの人なら出来るんだろう。案の定の答えが返ってきた。
「出来るよ。そういうシチュエーションを作れば。昨日車の中に乗り込んじゃった奴がいるでしょ?」
「あぁ、そういえば奴の事後処理を聞いてなかったですね。やっぱり除霊とかしたんですか?」
「とんでもない、僕は霊媒師じゃないんだから。もちろん、送ってきたよ。」
送ってきた?どういうことだ?いやいや、冷静に考えると・・・考えたくもない。
「あの後君たちを送ってから、Tトンネルにまた戻ったんだ。ずっと僕の車にいてくれても困るし、
かといって気まぐれでいつか車を降りてくれるのを待つのもねぇ・・・。」
トンネルに着いた先輩が思いついたのが、電話でトンネルの様子を実況中継をしようというモノだった。
ターゲットを吟味することになったが、まず俺はダメだった。俺は同い年の幹事を務めていた。
先輩も幹事だったので、お互いに番号を知っていたのだ。
「第一、K(俺)よりもMの方が成功しやすそうだったからね。」

なんでも、前スレの肝試しの最中、Mが気分を悪くしたのは、先輩が呼び寄せた霊のせいだったのだという。
単純な車酔いではなかったとは思っていた。Mが車酔いをしてる所なんて見たことがなかったし、むしろ俺の方が酔いやすい体質だった。
「Mは僕に寄ってくる霊と波長が合うんだろうね。すごく敏感だった。」
Mは先輩の番号を知らなかった。しかし、先輩は偶然(?)車に名簿を入れていたので、調べることができたのだという。
さっそくMの携帯にかける。出ない。相当疲れてたのか。と先輩は諦めようかと思ったが、留守電に繋がったので、
とりあえずメッセージを残すことにした。かといって何か言うにしても適当な文句が思いつかず、無言電話になったというわけだ。
Mの言っていた「風」というのは、恐らくトンネルの中を吹き抜けた風のことだったんだろう。

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