洒落怖
田舎

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あれはまずかったか…? 誰かに見られていたか?

風呂上がり、浴室の戸をカラカラと開き真っ暗な廊下に出ると、怒号のような声と
ガシャっと電話を打ち付けるような音が居間の方から聞こえたところだった。

また電話が来たんだ。今度は何なんだ。
居間のふすまの前に立ちつつも、俺はどうしても開けられなかった。
『 ……ほこら…… どうす…  ……ば…が……』
オッサンと奥さんの会話が聞こえる。
俺はどのタイミングで開ければいいんだ。

793 ちょっときいてよ sage New! 2008/10/11(土) 03:46:01 ID:Z7x12il40
アレだ。ついに例の件が伝わってきたんだ。
やっぱりアレはまずかったのか。オッサンは今どんな顔をしているんだ。
俺はどんな顔をしてこのふすまを開ければ

バッ!!!!!!
とふすまが勢いよく開いた。
オッサンが目の前に立っている。

オッサンの妙に涙目になった目に一瞬睨みつけられたような気がして俺は腰が抜けそうになったが、
次の瞬間には、オッサンは食事中の時の目に戻っていた。

『聞いたか』

『お前かな』と問われた。

この唐突なやり取りだけでオッサンが言わんとしてることが分かった。
「ぁ… え」と俺がうろたえていると
『布団がしいてるからもう寝なさい』と有無を言わさない声で言われた。

閉じられるふすまの向こうで、奥さんがはっきりと俺を睨んでいる様が目に焼きついた。

794 ちょっときいてよ sage New! 2008/10/11(土) 03:46:53 ID:Z7x12il40
こんなの寝られるわけがない。

外はもう墨をぶちまけたみたいに真っ暗なのにまだ夜9時。
明日の朝6時くらいまでの辛抱か。このいたたまれなさがあと9時間続くのか。
もう帰りたい。なんとか気を紛らわせたくて、布団の中で俺は携帯をいじっていた。

その時 ギシッと背後のふすまの方から床のきしむ音がした。

人がいる。
なぜ俺に声をかけてこない。
ケータイの光が漏れてるのはわかるだろう!!
俺が起きてるのはわかってるのになぜ声をかけない!!
こっちをうかがってるのか!!!???

俺は怖くなりすぎて、ふすまに背を向けたまま逆に間抜けな寝とぼけ声で話しかけた。
「トイレですかぁ~?」

キシ…と足音が遠ざかる。

返事はない。
返事をしてくれ!!!1なぜ存在を隠す!!!
こっちをうかがってるんだな!!!1俺が寝てたらどうする気だった!!!!!

796 ちょっときいてよ sage New! 2008/10/11(土) 03:52:41 ID:Z7x12il40
もうここにはいられない。
俺は深夜2時頃しずかに荷物をまとめ、
一応「ありがとうございました、急な用事があるので帰ります」という旨の書置きをした。
足音には十分気をつけたが、きしむ音は防げない。神にいのるような気持ちで居間の前を抜けた。

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