洒落怖
家族孝行

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900 1/3 sage 2008/07/16(水) 21:40:18 ID:MI9Ed4260
空気読まないで他板のコピペスレに投下してしまった奴だけれども、

俺が中3のときに2歳年上の姉ちゃんが骨肉腫になった。
はじめはすぐに良くなるって言われてたのに、それはどうやら俺を適当に騙すための嘘だったようで
姉ちゃんは新人選が間近に迫った初夏の蒸し暑い日に、県立病院に入院した。
当時俺は受験生だったけど程よい馬鹿だったので勉強しなくても市内の底辺学校には受かるだろうって事だった。
だから姉ちゃんが入院してからは放課後週に4回くらいは自転車をこいで見舞いに行ってやってた。
学校でも膝に水が溜まって部活を休んだり入院していた奴は何人か見た事があるから、
姉ちゃんもそんなもんだろうと思ってた。本人も新人戦に出れない事を異常に悔しがるくらいの元気はあったし。
そして季節は梅雨に入って、入院していた姉ちゃんはやっと家に帰ってきた。

俺はもうすっかり良くなったもんだと思って、短かった一人っ子ライフを惜しんでいた。
帰ってきた姉ちゃんは少し痩せていた。「ダイエットwwww大成功ですwwwテラスリムwwうめぇwwww」
とか言っていたんで、俺は少しでも心配したことを後悔した。
姉ちゃんはそれから暫く家で過ごした後、また病院に連れ戻された。
その日の夜に俺は父ちゃんに呼び出されて姉ちゃんが死ぬかも知れん、と言われた。
泣いている父ちゃんをここではじめて見る俺。父ちゃんは意外と泣き虫だった。
なんか姉ちゃんは骨にできてた腫瘍?がどっかに転移したらしい。
病気の事は良く分からんかったから、いまいち現実味がなかった。
でも姉ちゃんが入院して何日か経って、
いつもどおりに見舞いに行くと姉ちゃんが夏なのにニット帽を被ってて、
「姉ちゃんなwww坊さんに転職したwwww」とか言われたときは俺もさすがに駄目かと思った。
姉ちゃん髪が抜けてるらしかった。
副作用?で髪が抜けるなんてドラマとかの白血病の人とかでしか
見た事がなかったから俺もようやっと事の重大さに気付いた。
部活をやってたときには日に焼けて俺よりも色が黒かった姉ちゃんは
いつの間にか流行の美白にも成功していた。
病院のベットに座ってる姿も違和感がなくなってきていた。

901 2/3 sage 2008/07/16(水) 21:42:39 ID:MI9Ed4260
その日から俺の日課に神社のお参りがプラスされた。
気休め程度だけど家への帰り道にある神社に寄って良く分からん神様に姉ちゃんの事をお願いした。
姉ちゃんは良くなったり悪くなったりを繰り返していた。
学校の方は大丈夫なのかと聞いてみたら、案の定今年は進級できないかもと言われた。

相変わらず病気の事は分からなかった。姉ちゃんは見た分どこも痛そうではないが、やっぱりどこか悪そうだった。
そんで相変わらず死ぬかもとか言われていた。ますます良く分からんかった。
ある日、いつもより大分早く目が覚めてしまった俺は、なんだか唐突に外に出たくなって、
ついでだからと言う事でお参りに行く事にした。
4時か5時くらいだったと思う。歩いている途中で新聞屋のおっさんとすれ違った。
いつものように階段を上って茶色に塗装の剥げた鳥居をくぐり、小さめの社に手を合わせた。一応目をつぶる。
お参りを終えて目を開け、腰を上げると社の斜め後ろの土手の上、林の中にじじいっぽいのが居た。
なんか異様に赤かったように思う。おまけに上半身裸で汚い野良着みたいなのを来た赤はげだった。
おはようございます、と一応頭を下げたが爺さんは返事を返さない。
酔っ払いかもしれないと思い俺がその場を立ち去ろうとすると、爺さんが顔に似合わず甲高い声で喋った。
「ききいれるぅ、やがなし(?)、ききいれるぅ」
「え?は?」
「いまはまつぅ、さが(?)こうかん、ぬしはしぬぅ」
意味が分からんから俺は後退った。爺さんは土手をぴょんと飛び降りてこっちに来た。
「たつどき、ね(?)、20なるまではお前待つぅ、お前と代わりに聞き入れる、やみはらうぅ」
爺さんはさっきと比べるとまともな口調になって俺に向かってぶつぶついうと手を頭の上でパンパン叩いた。
俺は怖くなって「はあ、どうも、じゃ、」と言うと階段を全速力で駆け下りて家に帰った。

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