洒落怖
牛の首

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830 牛の首 1 sage 2008/06/18(水) 23:24:51 ID:YsrduHqD0
牛の首の話、知ってのとうり聞いた人は恐怖で死ぬらしいから
聞いた俺が死んでないって事は多分どこか改変とか省略されてると思うんだけどね

戦国時代初期、あるいはその少し前、織田信長とかの時代のちょっと前の時代
東日本の小国の小さな村の男衆が、その小国を庇護下に置いていた国の命令で戦に行った
西日本の小国への侵略戦争だったんだけど、他の国の介入もあって戦闘は長期化
最終的にその村の男衆を含めた軍は、西へと逃げて、最後は撃破された

ただ、撃破されたって言っても全滅じゃない
敗残兵となった彼らは命辛々逃げ出して国へ帰る策を練った
といっても、策は少ない『野盗になって生き延びるか』と『僧に扮して逃げるか』
この時代、簡単に関所をくぐれるのは僧だけだった
でも、男達は20人近くいたから、僧衣の入手は難しかったし
戦乱の世では農民から受けれる施しも、農民だった彼らにはどこもそんな余裕無いと分かっていた
彼らは野盗になった
でも、国に帰ってから、手配書などで村にバレるのは嫌だった
だから、個人を特定されず、入手しやすい被り物が必要だった
彼らは考えた、当時の布は耐久性に優れていなかった
そして彼らは盗んだ牛の頭を被った

831 牛の首 2 sage 2008/06/18(水) 23:40:26 ID:YsrduHqD0
顔を見られないって事は、個人を特定されないっていう事
そして、個人を特定されないって事は、人の攻撃性を増す事につながった
一兵卒で敗残兵の、うっぷんやストレスの溜まったの彼らには、牛の頭をした自分達に恐れおののく人々の悲鳴が心地よかった
そして最初は盗難だけだった行為もだんだんエスカレートしていった
強盗、追い剥ぎ、強姦に殺人
生き延びる為以外の酒や食料も求めて
彼らは鬼の如く振る舞った
1年か2年、それ以上かかって彼らは村の近くに着いた
殺した人数は覚えてなかった
村を潰したこともあったし、町に火を付けた事もあった
これで村に帰れると、牛の頭を脱ごうとした一人が
力一杯に毛を握って引いたら
ずるりと顔の皮ごと、剥けて、蛆とか、蝿がたかった顔は
人面の形をしてなかった

そりゃあ化膿するわな、蛆も涌くわ
でも、彼らにそんな知識はなかったし
死人にたかると思っていたものが自らの体から涌いて
パニックになった
そしてその叫び声を村の若い衆と老人達、彼らの息子や彼らの父に聞かれた
もう彼らは牛の頭をした盗賊団だった
個人を特定されないようにする為の仮面が彼らの顔になった

833 牛の首 3 sage 2008/06/18(水) 23:47:42 ID:YsrduHqD0
後は村の衆に捕まって、役人に引き渡され
都で晒し首
でも結局晒されたのは牛の首

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牛の首
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