洒落怖
てんらく

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102 1 sage 2009/09/13(日) 02:32:11 ID:wrOFdkJNO
もうだいぶ昔、浮遊霊様っていう遊びにハマっていた時期がある。要はコックリさんの類。
名前なんて何でも良かったし、コックリさんをやっても、どうせ近寄ってくるのはそこら辺の浮遊霊という話で、誰かが悪ノリして付けた名前だったと思う。
ただ、10円玉で試みて全く動かなかったことが度々あって、エンジェル様だかキューピット様のようにシャープペンを使ってやっていた。これが面白いように動く。
友達がいっていたのだが、コックリさんの類に自分の寿命を聞いちゃいけないらしい。それでも、やはり自分の未来については知りたいところ。
ある日、未来についての質問もネタが尽きかけていた時、こんなことを聞いてみた。

「俺はこの先、どんな人生を送りますか?」

カーテンを締め切り、蝋燭の光が不気味に揺れている薄暗い俺の部屋、そこにはいつものメンツが四人。シャープペンがスルスルと動く。

『…て…ん…ら…く』

部屋の温度が少し下がった気がした。

「てんらく…転落?この先、転落人生ってことかよ?」

友達のひとりが笑ったので内心かなりブルーだったのだが、おどけたり悪態をついたりして見せた。
すると別の友達が、少し慌てたように、おい、あまりふざけるな、ヤバイって、と声を荒げた。
少しの沈黙の後、ついさっきまで俺を笑っていたはずの友達が、何の前ぶれもなく、俺達四人のど真ん中に向かって大量のゲロを吐き、それは儀式に使われていた紙を中心に広がっていった。
その後は軽い地獄絵図。すっかり気分も萎えて、解散することに。
遠足のバスでの惨劇などを思い出しながら、『部屋の掃除ダルイなぁ』などと自分の哀れんでいると、派手に吐いた友達が両脇を抱えられて外に連れ出されたのを見計らって、ひとりの友達が真顔で近づいてきた。

「だからヤバイって言っただろ?どんな浮遊霊だか地縛霊が来てたか分からないんだぞ?タチ悪いのだったらどうする。しばらくは部屋の四隅に盛塩でもしとけよな」

その友達は、自称『見える人』だったが、見えない俺には、否定も肯定も出来ない存在だった。その時までは。

104 2 sage 2009/09/13(日) 02:33:45 ID:wrOFdkJNO
その夜は本当に寝苦しい熱帯夜だった。汗だくなのに、頭からつま先まで布団をかぶって、みの虫状態。もう何時間こうしているだろう。
『盛塩しとけ』…そんなことを言われると、微かな物音でさえ、不吉な者の仕業に思えてしまう。真に受けて、その盛塩を実行してしまったのだから尚更だ。
布団から足を出したら冷たい物に触れてしまいそうで怖い。

コンコン

静寂の中、不意に『何か』が窓を叩き、控えめな音とは裏腹に、心臓を撃ち抜かれたような衝撃が走り、体が脈打った。

コンコンコン

その音がかき消されるくらい、鼓動は激しく鳴り響いていた。

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