洒落怖
猛者

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「・・・・・・ち・・ぃ・・」
 ?????

おかしなフリーズしたパソコンを前に途方に暮れていると、またさっきの掠れた声みたいなのが聞こえてきたんだ。猛者の野太い声とはまた違ってて、と言うかむしろあいつ寝てるはずだ。
ふとビデオ映像に目をやって、今度は俺までフリーズした。笑い事じゃなく、本当の意味で、頭のてんっぺんからつま先まで凍りついた。

頬杖をつく猛者のすぐ横に生首が宙に浮いてて、猛者の耳元でなにか必死に語りかけてるんだ。
痩せた、女の顔だった。

「・・・は?」

俺は最初何がなんだかわからなくて、猛者のイタズラなんじゃないかと思った。だけどその生首の女の形相が段々と鬼のように変化していったとき、俺はやっと、「これはやばい」ってことに気づいたんだ。
そもそも猛者は怖がりだし、こんな手の込んだイタズラをするようなやつじゃない。
だとしたら-、、、

251 とんこつ 2009/09/08(火) 05:17:26 ID:ITO0Scx+0
「ウヮイ、シャエン、シェ、シェ、シェ、」
「シェ、シェ、シェ、シェ、、、」

聞きとれなかった声も段々とハッキリしたものになっていって、それが日本のものじゃないこともわかった。
確実には思い出せないけれど、たしか「シェ」とか言ってた。
DQNの俺はそれが何語だかすら理解できなかったけど。

「お、おい、起きろ!!!」

とにかく、猛者が危ない。
そう思ったんだけどマイクはオフにしてしまってるし、パソコンはフリーズしたままだし、知らせる手立てがない。
(今冷静になって考えれば、携帯で電話すればよかった話なんだけど。)

「シェ、シェ、シェ、シェ、、、」

こんなこと言うと薄情と言われるかもしれないけど、その鬼みたいな顔した女の怒りの矛先が、俺に向いてしまうことがどうしても恐ろしくなった。
俺がうろたえてる間も女は益々ひどい怒りを露にしていて、スピーカーが割れる程の奇声を上げだしていたからだ。

「シェ、シェ、シェ、ジェ゛、ジェ゛、ジェ゛!!!」

どうしてもその恐怖に耐え切れなくなった俺は猛者を見捨てて、パソコンをそのままに部屋を飛び出した。
とにかく怖くて眠るどころじゃなかったから、居間でテレビと電気を眩しいくらいにつけて、朝家族が起きるまでの時間を怯えながら過ごした。
昼になって恐る恐る部屋に戻ると、なぜかパソコンは普通に動いて、スカイプは通話終了の画面になってた。

252 とんこつ 2009/09/08(火) 05:19:28 ID:ITO0Scx+0
その日はさすがにバツが悪くて猛者には連絡しなかったが、次の日普通に登校してきたとき、猛者にそのことを話すると、なぜか、
「まじか~。なんなんだろうな」くらい普通の反応だった。
結局あの女の首がなんだったのかも、分からずじまいだった。

俺は今までそんな体験一度もなかったし、その後他のやつらも猛者といるときになんか見たっていうから、
原因は猛者にあると思う。
ただ本人が全くと言っていいほど何も感じないから、俺らとしても手の施しようがないっていうか…

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