洒落怖
浮かばれないモノ

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179 本当にあった怖い名無し sage 2009/07/05(日) 17:24:56 ID:xf6sEHIX0
 怖いと言うか不思議な話しです。
 去年の10月前半なんですが、千葉の鴨川の近くの小さな民宿へ泊まりました。
 古い付き合いの相棒がそこの親戚筋と言う事で、まぁ、なんとなく美味い魚でも食えれば・・・・的な感じでした。

 金曜日の夕暮れに民宿へ到着し、旅装を解いて早速風呂へ。
 温泉と言うわけではないのですが、海の見える(自称)大きな露天風呂はそれなりに気持ちの良いもんです。
 風呂の後は楽しみにしていた晩飯。
 話に聞いていた通り、鯛やらひらめ(?)やらの船盛に煮魚に、おまけの美味い地酒ですっかり上機嫌。
 その晩は普段の仕事の疲れもあって早々に寝てしまいました。

 翌朝。
 民宿の質素な朝食を摂って近所をブラブラしていると、宿のオヤジが漁に出るとかで準備してました。
 こりゃ面白そうだと言う事で、ちっちゃなデジカメ一台持って船外機のついた木っ端舟に便乗。
 内海向けの小さなボートに船外機が付いただけの、本当に浜のすぐ近くで使うような船で沖に向かって20分か30分は走ったくらいですかね。
 距離感覚とか方向感覚が鈍いほうなんで、どこまで行ったかは自信がありません。
 ただ、ちょっとうねりの入った沖合いの、その波間に日本が消えて無くなるような沖合いでした。

 

180 本当にあった怖い名無し sage 2009/07/05(日) 17:26:04 ID:xf6sEHIX0
 海釣り用の竿を出したオヤジがのんびりと糸をたらします。
 暢気なもんだと思っていたら、程なく大きな魚がヒット。
 鯛ですかね?と、聞いたんですが、親父はゴニョゴニョ言うばかりで教えてくれません。
 まぁ良いかと思っていたら親父が血相を変えて竿をしまいました。

 なんかあったんですか?と聞いても、何も言ってくれません。
 しつこく聞いていたら「良いか、何があってもこれから声を出すな、絶対に出すな」と怒鳴られました。

 意味が分からずちょっとふて腐りモードで沖のほうを眺めていたら、なんか白いモヤみたいなのが漂っているのが見えました。
 オヤジは自分にも聞こえるような音で派手に舌打ちしてクルリと船の向きを変え、港に向かって船外機全開で走り始めます。
 ふと気が付けば、何となく生臭い臭いと共にベタベタするような湿気交じりの空気が船を包んでました。

 なんだこりゃ?と思い親父を見たら、もの凄い血相で指を口に当ててシーとするようにして沈黙を求めています。
 そして、ハエでも払うようにシッシッ!と手を振って、前を向くように指示されました。

 とりあえず何か良くない事が起きるんだろうな・・・・ と思って、言われたとおりに前を向いて船の揺れに落とされないように船べりにしがみ付きます。
 波に当たって木っ端舟は大きくバウンドするように上下に揺れます。
 水上の速度感覚が無いもんですから良く分かりませんが、少なくとも走る船の上で受ける向かい風は時速20キロとかそういう時限だと思います。

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