洒落怖
10の14乗分の1

この怖い話は約 3 分で読めます。

736 10/12 2009/07/13(月) 00:47:09 ID:yzLus+8HO
「嫌だよーああああああああ」
足をバタバタして抵抗するヨッシー。
仲間が懐中電灯をぐるぐる回して雰囲気を盛り上げる。
ヨッシー、ヨッシー、ヨッシー、ヨッシー、ヨッシー、ヨッシー、ヨッシー、ヨッシー
もはや後には引けない。
四次元の木に後一歩の所まで来た時、友達に目配せをして力強くヨッシーを木に押し付けた。
フッと軽くなったような気がした瞬間、懐中電灯が消えて真っ暗になった。
何かにつまづいて転んでしまった。
「痛!おい、消すなよ!こら!」

「消してないよ!…消えた!」
パンパン!…パンパン!
懐中電灯を叩く音が数回した後フッと灯りが付いた。
「あれ?ヨッシーは?」
いない?!真ん中にいるはずのヨッシーがいない?!
反対の腕を掴んでいた友達も何故か転んでいて、キョトンとしている。
「いない訳ないだろ?」
「あいつイタズラしてんだよ!おいヨッシー、ふざけんなよ!出てこいよ!」
灯りがつくまでは数秒、ヨッシーはその間に茂みに隠れているに違いない。
俺達は懸命に探した。
「おい、ヨッシー、出てこい!」
「もうやめよう、謝るよ、出てきて」
「悪かった!ヨッシーごめん。頼む出てきて!」

738 11/12 2009/07/13(月) 00:53:29 ID:yzLus+8HO
俺達は青くなった。
ヨッシーは悪ふざけをしてその辺の崖から転落したのかもしれない。
「お前があんなアホ連れてくるから悪いんだぞ?」
俺は後悔した。
ヨッシーはマジで大ケガ、いや、死んだかもしれない。
ヤバイ…ヤバイ…。
「うん。俺の…責任だ。とりあえずヨッシーの家に行ってお母さんに説明しよう、それから警察に届けよう、俺の責任だ」
俺達は急いでヨッシーの家に帰った。
山道を15分、バイクで一時間、ヨッシーの家に到着した。「おばちゃん、おばちゃん!ヨッシーが大変な事に!ごめんなさい!」
ヨッシーの母ちゃんは俺達の勢いにびっくりしたようだが、直後にとんでもない事を言った。
「どうしたのこんな遅くに?義彦ならさっき押し入れから落ちたみたいで、うーうー唸っているよ、二階で」
え?な・ん・だ・っ・て?俺達は訳がわからず二階に行った。
そこには紛れもなくヨッシーが居た。
「おい、ヨッシー、ヨッシー!お前どうやって帰ったんだ?え?」
ヨッシーは何故か全裸だった。体中に傷があって涎をだらだらと垂らしている。
「オジサンがね…僕のね…えへへ…お前らしらないぞ?オジサン怒ってたぞ?」「ヨッシー、オジサンって誰なんだよ?え?オジサンって?頼むよ、答えろよ!」
俺は何故か半泣きになってヨッシーを揺さ振った。
「えへへ、えへへ」
ヨッシーは答えない。

742 12/12 2009/07/13(月) 00:56:11 ID:yzLus+8HO

この怖い話にコメントする

10の14乗分の1