洒落怖
10の14乗分の1

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728 6/12 2009/07/13(月) 00:37:58 ID:yzLus+8HO
翌日昼休み、職場からヨッシーの家に電話をした。
意外にもヨッシーは直ぐに出た。
「ヨッシー!昨日ごめん…大丈夫だったのか?」
「何が?」
「何が?って…昨日どうやって帰ったんだよ?」
「どうやって?バイクでだよ」
「いや、それはわかるけど」
まるで会話が噛み合わない。
仕方なく仕事が終わってからカメラの持ち主の奴と二人でヨッシーの家に行ってみた。
「ヨッシー、昨日あれからどうしたんだよ、心配したんだぞ?」
「俺さあぁぁ…へへっ…へへっ………」
「ヨッシー、お前なんかおかしいぞ?シンナー吸ってるのか?」
「へへへ」
「ヨッシー昨日何か見たんだな?何を見たんだ?ヨッシー?」「僕なーんも見てない…見てないよ、見てないもん」(この日からヨッシーは池沼みたくなってしまった)
シンナーのせいかもしれないけれども、自分の事を僕とか言い出したり涎を垂らしたりしたりして、俺達を困らせた。
話にならないので帰る事にして玄関を出るとバイクが目にとまった。
来た時はシートが掛けてあったけど、風でシートがめくれていたからだ。
「これ…なんだよ?」
ヨッシーのバイクは傷だらけでライトと全てのウィンカーが割れていた。
所々に枯れ枝が付いていてミラーがあらぬ方向に折れ曲がっている。

729 7/12 2009/07/13(月) 00:39:47 ID:yzLus+8HO
どこをどう走ったらこんな事になるんだろう?
ヨッシーだって無傷でいられるはずがない。
「ヨッシー!おいヨッシー!お前?」
「あー、あー、あー」
ヨッシーは痴呆のように叫ぶだけで答えなかった。
暫くしてヨッシーは仕事を辞めて精神科に通うようになったんだ。
日常生活は支障がないけれどバイクには乗れなくなった。
俺はやはりあの日の事が関係しているような気がしてババアの所に行って解決法を聞こうと思ったけれど、できなかった。
約束を破った負い目があったから。
いつの間にかヨッシーの事は仲間内でタブーになっていって疎遠になった。
そんなある日、不思議な噂を耳にした。
「四次元の木」の噂だ。
ある山奥にあるその木は厳重にフェンスで仕切ってあり入れないようになっている。
管理しているS市に問い合わせたら存在を否定される木。
この木はなんの変哲もない樹齢50年くらいの木らしいのだけど、なんと四次元の入り口になっているという。
空き缶や石を投げつけると消えるという。
消えた空き缶や石はどこにも見当たらない。
つまり…この世に存在しなくなる…。
元々は山菜取りの老夫婦の旦那が奥さんの目の前で消えた!というのが噂の始まりだった。

732 8/12 2009/07/13(月) 00:44:08 ID:yzLus+8HO
噂が広がった後は大変で、珍走団は集まるし、子供が消えたとか騒ぎになるし、でも四次元の木に行った事のある珍走団の友達に聞いた話では何を投げつけても消える事は無かったって。
その友達は先週も行っていて、フェンスを壊したから今なら入れるって言っていて、刺激を求めていた俺は懲りずに行く事にしたんだ。
仲間を集めて出発しようとした時
「僕もいくぞー、僕も、僕も僕も」
なんと、ヨッシー!
ヨッシーに教えたのは誰?
痴呆を連れていってもお荷物。
けれどヨッシーは俺のバイクに跨って離れない。
「嫌だ嫌だ、僕も、僕もへへへ」
ヨッシーには誰も連絡をしていないという。
どうして知ったのだろう?仕方なくニケツで連れて行く事にした。

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