洒落怖
怪しいバイト

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バン!

と内側から窓に何かがぶつかる音がした。
びっくりして2人で窓の方を見たとき、俺達は叫び声をあげてその場から逃げ出した。
何が起きたかというと、板が打ち付けられた窓の隙間から、4~5人の「眼」が俺達を
板の隙間から見つめていた。
性別や年齢は解らない、とにかく隙間から「眼」がいくつもこちらを見ていた。
それだけしか解らない。

家から200mか300mくらい離れた街灯のところまで走り、俺達が息を切らしてへたり込んで
いると、叫び声を聞いたのか近所の人らしいお爺さんが「こんな夜中になにをやってる!」
と俺達に話しかけてきた。

俺達は恐怖と息切れと動揺で「窓に眼が…」とか「話し声が」とか「バイトで掃除に来て」
とか支離滅裂な事を言っていたように思えるが、お爺さんはそれで何かを察したのか、
急に口調が柔らかくなり「とにかく家に来なさい、そこでゆっくり話を聞くから」と素性も
知らない俺達を家にあげてくれた。

おじいさんの家に着くとおじいさんの奥さんらしいお婆さんもおきてきて、俺達に
お茶を出してくれた。
それで俺も友人もある程度落ち着き、バイトの依頼を受けて泊り込みであの家の片付けに
来た事、夜中に変な声を聞いて調べに行った事、厳重に板張りされた部屋を覗き込んだら
沢山の眼に見つめられた事などを話すと、お爺さんは「あの家は何十年も前に土地の権利関係
で色々あったからな…お金は諦めてお前達はバイトを断りなさい、今日は泊めてあげるから
明日家に帰りなさい」と言って来た。

847 怪しいバイト5 sage 2009/07/13(月) 23:19:03 ID:fTrjVEJX0
お爺さんはあの家の事について何か知っているようだったが、それ以上は話してくれなかった。
俺達は申し訳ないと思いながらも、その日はそのおじいさんの家に泊めてもらった。

翌朝、朝飯までごちそうして貰った俺達は、お爺さんとお婆さんにひとしきりお礼を言って
帰宅する事にした。

最寄駅までの道中、俺がバイトを依頼してきたおっさんに電話して、金は要らないし
交通費も返すからバイトは無かった事にしてくれと言うと、おっさんはしきりに事情を
聞いてきた。
隠す理由もないため昨夜あった話をすると、おっさんは独り言のように「まだ出るのか…」
というと、「交通費はいい、でもバイト代は1日分も出せないからな」「家の鍵は玄関マットの
下に入れておいてくれ」というと早々に電話を切ってしまった。
口には出していなかったが、おっさんはかなり怯えていたのがわかった。

帰り際、俺と友人は「あの家で何があったのか」それだけは気になった。
そこで携帯で図書館の場所を調べ、当時の新聞記事などを探してみたのだが、それらしき
事件などはみつからなかった。
そこでふと思いつきで、今度は少し離れたところにある法務局へ行ってみた。

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