洒落怖
よくないもの

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ちょうど、自分らは愛車のカブに乗って住職が帰ってきたところに居合わせ、住職は
ニコニコ笑ってヘルメットを脱ぐと、手招きで来い来いとやってみせた。

『あの、ご住職、この玉ってなんなんですか?』

門をくぐって、敷地内に入っても砕けた玉はそこらじゅうに置いてあり、気になってたずねてみた。
「ああ、それは”ぼん”や(ぼん=坊ずの意。つまりAのことね)
 ○△がぼんを殺そうとしとったんやし。お代わりやな。」

縁側に腰掛けて、住職が続けた。
「●●さん(お師匠さんのこと)は、ぼんのお代わりさんが足りんで、
 何から何までお代わりさんにしたんやし。わしのベンツ(愛車カブのことらしい)も
 お代わりさんにされそうやったし」
カラカラと笑ったが、ふと真顔になって、
「●●さんはな…そうやな…」
そこまで言うと、スタスタと奥に入って行き、程なくしてなにやら包みを持って戻ってきた。

510 502 sage 2009/07/10(金) 19:18:34 ID:h1B9YgXf0
「●●さんや」
包みを解くと、真っ二つに割れた漆塗りの位牌が出てきた。

「…なんで俺にそこまでしてくれたんすかねぇ…」
無理やり力で割ったような、不自然な割れ方をした位牌を見ながら、Aがつぶやいた。

しばらく、誰も口を開かなかったけど、日が傾き始めた頃にAが持ってきたお酒とお土産を置いて、
お寺を出る事を告げた。

「大事にしよし」
住職はそう言って見送ってくれて、自分らはAの実家へ向かった。

『なぁ、○△ってなにがダメなん?』
帰り道で、Aに聞いてみた。

「○△はな、人が不幸になるだけなんよ。○△本人が周りを巻き込んで、どんどん
 不幸にしていくんだ。なんなのかはよくわからん。昔は結構あったらしい。
 ○△がいるだけで不幸になる。何しても人が病気になる、命を落とす、家が没落する、
 作物が取れない、家畜が死ぬ。だから殺さないといけなかったらしい。」

しかも殺すときは聞いてるだけで晩飯が食べられなくなるほどの内容で殺されるらしい。

「この時代にそんなアナクロな、なぁ?」
そう言ってAは笑った。

後々聞いた話によると、Aが○△でなくなったという理由はいろいろあったらしい。
お師匠さんの遺言で、「お代わりさん」だけは欠かさなかったのが、ある日突然お代わりさんが
壊れなくなったんだそうだ。それで大丈夫、ってなったらしい。
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なんか上手にアレできなくて正直すまんかった。ナニコラタココラだけは勘弁してください。じゃ。

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