洒落怖
神父と女幽霊

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がりがりがりがり ガリッ ガガガ がりッ

無茶苦茶に引っかく音がします。ドアノブに気づかないのでしょうか?
願わくばそのまま気づかないでくれ!あきらめてどこかへいってくれ!

音がやみました。
あきらめた…?

がちり
 
ノブがゆっくりと廻りました』

799 終 sage 2009/06/10(水) 14:30:50 ID:IfhlA3fV0
『扉が開いたその時、お恥ずかしいことですが、私は腰を抜かして座り込んでしまいました。
凄まじい形相の、服を血でまだらに染めた女性がそこに立っていたのです。
彼女は口や鼻から血を垂らしながらこちらに2、3歩ふらふらとよろめいて、倒れました。
そこでやっと私は、自分が大変なあやまちをおかしてしまった事に気がつきました。

その方は生きておられたのです。

大晦日の深夜、誰もいない神学校の構内で彼女は農薬をあおって自殺をはかったのです。
しかし、あまりの苦しさに、唯一灯りのついていた建物…学生寮に助けを求めたのです。
薬でのどが灼け、声も出せず、這いずるようにして。
死装束のつもりだったであろう白いワンピースは吐いた血と泥で汚れ、裂け、苦悶のあまり
あちこちをかきむしった爪ははがれかかっておりました。

すぐさま救急車をよびました。
しかし、手遅れでした。
助けられたかも知れないのに、私が臆病風に吹かれてしまったばかりに…

祈りましょう。彼女のさまよえる魂の救済を。そしてわたしたちの心の弱さの克服を』

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