洒落怖
守るため

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644 本当にあった怖い名無し 2011/10/06(木) 14:33:50.23 ID:GNkVFYKo0
「捨てるな!!!」

Kくんが怒鳴った。いつもボソボソと話すKくんの、初めて聞いた怒鳴り声。
驚いた私は、咄嗟に花から手を引っ込めた。
何か気に入らないことでもしただろうか…あの挙動不審なKくんが、こんなにも怒りを
露にするなんて。

「え…ごめんね。どうしたの?」

私はKくんに謝った。しかし、

「ん?何のことっすか?」

Kくんはきょとんとしている。

「今、怒鳴ったよね?」
「いえ、何も言ってないですけど」

645 本当にあった怖い名無し 2011/10/06(木) 14:36:22.77 ID:GNkVFYKo0
Kくんは自分が怒鳴ったことを忘れているようだった。それとも私の聞き間違いだったのか…。念のため花はもうしばらくそのままにしておくことにした。

そんな出来事があってからも、私は変わらずその店で働き続けた。
店長と付き合い始め、職場恋愛に浮かれていたのだ。
いつもスタッフが帰った後、店長と2人残ってレジ閉めしたり、店のことを話したり、
楽しかった。
ある日、閉店時間になっても配達から店長がなかなか帰ってこず、閉店後も私は1人、
仕事をしながら彼の帰りを待っていた。
そういうことは今まで何度かあった。彼が戻ってくるまで、1人は怖いので、大抵は店の
電話を使って友達と話ながら待つことにしていた。
その日は久しぶりにEちゃんに電話を掛けてみることにした。

647 本当にあった怖い名無し 2011/10/06(木) 15:05:46.64 ID:GNkVFYKo0
「今、まだ職場にいて1人で暇なんだよー。話付き合ってよ」

Eちゃんは快くOKしてくれ、しばらくは高校時代の話などして、盛りあっていた。
しかし、次第にEちゃんの口数が少なくなり、声のトーンも暗くなった。
心配になった私が訊いてみると、

「Mちゃん、今、職場にいるんだよね……?」

「うん、そうだよ」

「今すぐそこから離れて!早く!」

648 本当にあった怖い名無し 2011/10/06(木) 15:09:46.62 ID:GNkVFYKo0
Eちゃんはもうすごい剣幕で、私にすぐ帰るよう言ってきた。
幸い、店の鍵は任されていたので、私はさっさと身支度をして店を後にした。
何が何だがわからぬまま家に帰りつき、彼には用事があるので先に帰ったことを伝えた。
そしてEちゃんに理由を聞こうと電話に手を伸ばした時、Eちゃんのほうから着信があった。

「さっきはどうしたの?」

私が何か言おうとするとのを遮り、Eちゃんが言った。

「あんたの職場やばいよ。店で電話してた時、すごいノイズが入ってたし、Mちゃんの声
も変な風に聞こえた。別人みたいな声になってた」

649 本当にあった怖い名無し 2011/10/06(木) 15:11:05.05 ID:GNkVFYKo0
それからEちゃんは、このままその職場で働いていると良くないことが起こるから、
すぐに仕事を辞めたほうがいいと言ってきた。
私は迷った。Eちゃんの言うことなら信じられる。だけど、すぐに辞めたら周りに迷惑が
かかるし、次の仕事を探すのもこんな田舎では難しい。
迷った末、どうにも決めかねて、次の日も仕事に行くことにした。

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