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766 ME ◆KCYjPGrG56 sage New! 2011/04/09(土) 04:22:55.06 ID:aSp2s4b20
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「毎年八月になると、死相の出た子どもがこの地域に急増するのと関係がありますか?」とカイさんは尋ねた。
「はい。男も女も見境なく、日本人の子どもであればエヴァの影響を受けてしまいます」
「エヴァはA市の大きな病院の産婦人科で生まれました。故郷はここです」
「しかし、エヴァと一緒に寝かされた赤子は皆衰弱していきました。エヴァ一人のせいで赤子全員が死にかけたんです」
「サリは奇異の目で見られる前に、無理やり退院してエヴァを連れたまま日本を出国しました」
「エヴァの力は日本の外では無力化するようです。だから、夏の間だけ私は孫と日本での暮らしを唯一の楽しみに生きてきました」
「エヴァを殺しますか?」エヴァの祖母がカイさんにそうはっきり問いかけた。
「どうしてです?」カイさんは驚いていないのに、そう返した。
「だって、エヴァは危険でしょう?それなら、血の繋がった私も一緒に殺して下さい。孫を失うくらいなら、心中した方がマシです」
大人たちの話を横で聞きながら、エヴァと私は縁側で涼んでいた。
「はじめてあったとき、うれしかった。ME、わたしとにてる」
「うん」と私は肯定した。
「でも、あのゆめはMEみない。わたし、いきててだめ?いきてていい?どっち?」エヴァは縁側にごろんと寝転んだ。
エヴァは確かに、人を魅了する力がある。
だが、人の命を弱め奪うなら無意識のうちでも、嫌なオーラが漂うはずだ。しかし、一切漂わない。
「生きてて良いに決まってるよ。生きてるんだから、生きてて良い」
そう言って、私はエヴァと親友にる約束をして帰る事になった。
まただ。魚の鱗や人のイメージが「バイバイ」と手を振っているエヴァに重なって視える。
魚のイメージがエヴァに重なって視える事をカイさんに話すと、「エヴァは八百比丘尼かもしれない」とぽつりとつぶやいた。
「ヤオビクニ?」
「人魚の肉を食べた女の人の事だよ。人魚の肉を食べると、不老不死になるって伝説があるんだよ」
「それって、ここA市の伝説ですか?」
「いいや、ここは海に面していない地域だから、人魚の肉を食べたら鮮度が落ちて腐ってて腹を下してただろうな。不老不死どころじゃない」
カイさんはそう言って、私を車に乗せた。
769 ME ◆KCYjPGrG56 sage New! 2011/04/09(土) 04:25:18.88 ID:aSp2s4b20
4
海の日の翌日。
エヴァは遅刻した。ものすごい具合の悪そうな顔で、先生が保健室へ連れて行った。
それが始まりだった。
急に、猛暑で蒸し暑い教室で私は悪寒がして震えていた。プールにつかって身体が冷えてしまったような感覚だ。
でも、実際は教室で他の皆はと一緒に先生が戻ってくるのを待っている。
教室の中だけではない、廊下も息苦しい。
MEつまんね