洒落怖
封印された箱

この怖い話は約 3 分で読めます。

数年前の年末にあった話。

年末に金はないけどヒマだらけって感じで友達のKの家でダラダラしてたら、Kが家族からちょっと本家に行って蔵に風を通してきてくれと頼まれた。
それで一緒にダラダラしてた友達Bと俺の3人でちょっと離れたKの本家までブラブラ歩いていった。
Kの家は京都の上賀茂という地元でもなかなかの高級住宅街で、結構な家柄のそいつの実家っていうか、普段使っていない本家に大きな古い蔵があった。

到着して早速、風を通そうってことで入り口と窓を開け放して、ヒマついでに目についた古道具なんかを「これはネットで売れるんちゃう?」とか言いながらあさってたんだ。
普段使わない様な物を手前からどんどん放り込んであったせいか、蔵の入り口近くは比較的年代が近いガラクタばっかりだったんだけど、奥の方に行くほど古い道具がたくさん転がっていたんだ。
それで何かお宝でも出ないか奥の方を探ってみようってことで、積み重ねられた道具をどんどん掻き分けて奥の方に入っていった。
しばらくは古い本や年代物の茶碗とかを見つけて「スゲー!ネットで売ったら結構高いんちゃう?」とか騒いでいたんだ。

つづく

210 本当にあった怖い名無し 2011/01/27(木) 02:52:15 ID:Q008wnSC0
そうして探っているうちにBが奥の方で古い木の箱が何個か積んであるのを見つけたんだ。
それは角の所が黒い鉄で補強してあって両端に取っ手が付いてる、映画とか時代劇にでも出て来そうな昔の千両箱っぽい感じの箱だった。
かなり年季の入った雰囲気に何かお宝でも入っているんじゃないかってことで、そのうち何個かを外に出して開けてみようって事になった。
一応鍵らしいものが付いてたけど、古いせいか3人で力をかけると開けることができた。
最初に開けた箱にはボロボロの江戸時代っぽい古い本とかが詰まっていた。
何個か開けていったが、だいたいが古い帳簿とかそんな感じの自分たちには大して面白くもない物ばっかりだった。

そうやって何個か開けて行くと、そのうちの一つだけ中にもう一個箱が入っていた。
茶箱みたいな感じの箱で蓋に墨で文字が書いてあった。
薄汚れている上に3人ともアホなので何て書いてあるかは分からなかった。
けど、何か高い物が入ってそうな雰囲気があったので、ちょっとドキドキしながら開けてみた。

開けてみると汚い綿みたいな物が詰まっていたのでそれを取り出すとまた箱が出て来た。
拍子抜けして「箱開けたらまた箱が出て来たりしてw」とか「マトリョーシカみたいに最後まで箱やったりしてなw」とか冗談を言っていた。

つづく

211 本当にあった怖い名無し 2011/01/27(木) 02:56:17 ID:Q008wnSC0
ただ、よく見るとその出て来た箱は何か文字を書いた紙がたくさん貼付けてあった。
Bが「何かお宝っぽいなw開けてみる?」と言いながら中身を確かめる感じで軽く振ってみたんだ。
そうしたらなんか中はもう一個箱っぽい感じの音と感触だった。
さすがに厳重に封がしてあるのを勝手に開けるのは躊躇われたんで一旦中に戻す事にした。
そうこうしているうちに日も暮れかかって来て寒かったんで、もう帰ろうってなった。
あさってた古道具の中に3人が欲しい物もあったんで、Aの携帯で写真を撮ってAの親に一応許可を貰う事にしたんだ。あの封がしてある箱も含めて。
それで、その日は3人で飯を食いに行って別れた。

この怖い話にコメントする

封印された箱