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霊感なんて、まったく無くて
自分には生涯無縁だと思っていた俺の唯一の体験。
以前勤めていた会社は4階建てのこじんまりとした自社ビルで
古いながらもエレベーターもついていた。
で、一番最後に帰宅する人が、全ての階を見て回って
消灯などを確認するという取り決めがあった。
その日、俺はPCのトラブルで同じ課の人と二人で
22時頃まで残っていて、仕事が終わってから、同僚と
取り決めとおり、4階から順番にエレベーターで降りながら
各階の電気を確認していった。
2階のチェックも終わり、残すところ後1階だけ。
そう思いながら、1階に降りるとフロアの様子が変だった。
1階は大きく開けてるはずなのに、エレベーターを降りて
まっすぐ歩くと、棚にぶつかったのだ。
真っ暗で、ほとんど何も見えないけど
明らかに、物の配置がおかしい。そう不審に思ってると同僚が
「おい、ここ2階じゃないか」とぽつり。
966 本当にあった怖い名無し sage 2010/11/16(火) 22:40:00 ID:4Iwc0RGo0
言われてみれば、エレベーターを降りてまっすぐの場所に棚があるのは
2階だけだ。でも、さっき2階はチェック済みだし
その後、乗ったエレベーターで確かに、下の階に移動する感覚があったのに。
「と、とりあえず、下に降りようか」
そういって、下に降りようとした時に、フロアの隅にあるトイレから
ジャーと水洗を流す音が聞こえてきた。それと同時に、トイレの明かりが急についたのが
トイレのドアのすりガラス越しにはっきりと見えた。
「誰か、いるのかな」
思わず、同僚と顔を見合わせたが、そもそもトイレの電気のスイッチは
トイレの外側についているので、中にいる人が点けられるはずがない。
一瞬で鳥肌がたって、同僚ともどもエレベーターに乗り込んで
閉まるボタンと1階のボタンを連打。
エレベーターが古いせいか、閉まるまで時間がかかるが
その間、怖くて仕方が無いのにトイレの扉から目を離せず。
ようやく、エレベーターの扉が閉まってくれたときはほっとした。
でも、また2階だったらどうしよう。そんなことを考えていたけど
今度は無事に1階に着いた。
タイムカードを押して、鍵を閉めて一段落ついたところで
「あぁ、良かった」そういいながら、同僚を見ると
ひきつったような顔をしていた。
「どうした」と問いかけると、とつとつと教えてくれた。
2階から降りるときに角度の問題で、俺には見えなかったんだけど
扉が閉まりきる直前に、トイレの扉が開いたらしい。
「何か見えたのか?」と聞くと、同僚は首を振った。
「なにも、ない。何も見えなかった。誰も居なかったのに
水が流れて、電気が点いたんだ」と。
この1件があるまでは、一人で残って戸締りとかもやってたんだけど
怖くて、最後まで残れなくなった。